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イーサリアムクラシックのハードフォークから見える今後

2019年9月、イーサリアムクラシックのハードフォークが実行されました。
ビットフライヤーやコインチェックも一時的にイーサリアムクラシックの入出金を停止するなど公式声明を発表しました。

ハードフォークの時に各取引所が入出金を停止するのは良く見られる対応です。
しかし今回のハードフォークには違う意味合いも含まれています。

今回はイーサリアムクラシックのハードフォークの意味について解説します。

イーサリアムクラシック(ETC)とは

イーサリアムクラシックはイーサリアムから分裂して誕生した仮想通貨です。
360万ETHがハッキングされたThe DAO事件の対応で意見が割れ、ハッキング前まで巻き戻すことを認めたイーサリアムと巻き戻しをしなかったイーサリアムクラシックへと分かれました。

ただし2019年9月現在、イーサリアムとイーサリアムクラシックは取引量や時価総額などで大きな差が生まれつつあります。
1ETH=2万円弱であるのに対し、1ETC=700円~800円です。
20倍近い差をつけられました。

また性能面でも違いがあります。
イーサリアムには未だに発行枚数に上限は設定されていませんが、イーサリアムクラシックは2億1,000万枚を総発行枚数として設定しました。

コンセンサスアルゴリズムもイーサリアムは将来的にPoSへの移行が予定されていますが、イーサリアムクラシックはまだPoWのままです。

ただし2019年1月にイーサリアムクラシックは51%攻撃を受けたと報道されています(開発側は否定)。
なおイーサリアムとイーサリアムクラシックの開発は、それぞれ別のチームが担当しています。

ハードフォークとは

ハードフォークとは、仮想通貨やブロックチェーンのアップデートのために行われる意図的なブロックチェーンの分岐です。
銘柄自体が分裂することは稀で、多くの場合は分岐して使われなくなったブロックチェーンは消滅します。

ハードフォークで問題となるのは不具合です。
ハードフォークは仕様の変更でもあるためウォレットなどが十分に対応できずに、正式な仮想通貨であっても異常と判断するケースがあります。

このため仮想通貨取引所などのウォレットは、異常がないかの確認がとれるまでハードフォーク前後での入出金を停止するのが慣例となっています。

ETCDEVとEthereum Classic Labs

今回のイーサリアムクラシックのハードフォークでは、これまでと開発担当組織が異なるという点でも注目です。
これまでイーサリアムクラシックの開発を行ってきたのはETCDEVというスイスの組織でした。
エメラルドウォレットというイーサリアム・イーサリアムクラシック・ERC-20トークンを保有できるウォレットやイーサリアムブロックチェーン上で動くモバイルアプリ開発用のプラットフォームであるエメラルドプラットフォームを開発しています。

しかしETCDEVは開発資金不足に陥り、2018年12月に解散しました。
今回のハードフォークを担当するのはEthereum Classic Labsという別の開発チームです。
Ethereum Classic Labsはアメリカのサンフランシスコを拠点にしています。

定期的にイベントを開催しており、参加者とアイディアの共有したり議論を行ったりしています。
既に金融やブロックチェーン関連の複数企業と提携しており、開発環境を整えてきました。
なおETCDEVもチーム自体は解散したもののメンバーの多くは他のチームに移動するなど別の形で活動を続けています。

エメラルドウォレットも開発が続けられており、2019年9月現在ではバージョン2.0.4になりました。

アトランティスとは

アトランティスでは複数の項目で修正が予定されています。
その中でも特に注目したいのが仮想通貨ジーキャッシュが導入しているzk-SNARKsです。
zk-SNARKsはゼロ知識証明も基幹技術になります。

ジーキャッシュは匿名性のある仮想通貨で、アドレスから所有者を特定することはできません。
アドレスの代わりに中身の知識で所有者を判断します。
中身についてしっかり知っていることが所有者を判別する鍵となっているわけです。
この判断方法がゼロ知識証明です。

zk-SNARKsは、既にイーサリアムにも導入されています。
今後追加される予定のイーサリアムの性能であるプラズマ(Plasma)でzk-SNARKsは使われることになっています。
プラズマはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために提唱されている技術ですが、まだ本格導入には至っていません。

今回アトランティスでイーサリアムクラシックもzk-SNARKsを導入することから、イーサリアムクラシックもプラズマ導入を視野に入れていると思われます。

まとめ

イーサリアムクラシックは、イーサリアムを追従する部分とイーサリアムと決別して独自路線と進む部分を明確に分け始めています。今後もどこまでイーサリアムクラシックがイーサリアムを追従しイーサリアムと決別するのかの線引きは、注目するべきポイントになるでしょう。