2016年末からビットコインの相場が高騰し、2018年初頭には1BTC=200万円を超えました。
しかしその後急落し、2019年2月現在では1BTC=40万円前後で取引されています。
このように大きく変化した市場を受けて、急落前の市場は強気市場、急落後の市場は弱気市場と呼ばれています。
今回はそんな弱気市場のメリット・デメリットについて解説します。
弱気市場とは
弱気市場は英語でbear marketといいます。
この場合のbearは動物のクマではなく、耐えるという意味です。
一方強気市場は英語でbull marketといいます。この場合のbullも雄牛という意味ではなく、押し進めるといったニュアンスです。
強気市場・弱気市場という名称は、仮想通貨だけではなく株やFXでも使われている単語です。
弱気市場のメリット&デメリット
一見するとデメリットしかなさそうな弱気市場ですが、複数のメリットもあります。
メリット
詐欺コインの減少
まず1つ目は詐欺コインの減少です。
2019年2月現在、仮想通貨の種類は2000を超えました。
その裏ではSNSでの活動が見られなくなった、公式サイトにアクセスできなくなったといった銘柄も900以上あると言われています。
強気市場ではICOで1BTC集めるだけで200万円近い金額を集めることができ、1BTCを目標に仮想通貨を立ち上げるだけでも十分な利益を計算できたわけです。
しかし現在の弱気市場では、1BTC集めても40万円前後にしか過ぎません。
ですので利益を確保できる目処が立たなくなったために詐欺コインが減ったともいえます。
開発や地盤への注力
2つ目のメリットは開発や地盤への注力です。
仮想通貨の運営をする以上、銘柄の価値向上は至上命題ともいえます。
しかし弱気市場であれば、どれだけ価値向上に力を注いでも効果は薄くなってしまうのです。
そこで今後も健全な運営を計算している銘柄は、弱気市場の間にアプリやウォレットの開発・今後の運営方針の確立などを順調に活動を進めており、中には地道な開発が功を奏して、この弱気市場の中でも高騰している仮想通貨も存在しています。
一例としてウィンクルボス兄弟が創業したジェミナイは、2018年12月に取引アプリを発表しており、更にウィンクルボス兄弟は居心地が良い、開発に集中できるといったコメントを残しているほどです。
デメリット
活動資金の確保
弱気市場の最大のデメリットは活動資金の確保が難しいことでしょう。
広告を表示せず直接記事の執筆者にお金が入る仕組みをつくっている仮想通貨steemitは、2018年11月にYouTube上に公開した動画の中で7割もの社員の解雇を行ったことを発表しています。
この他にもイーサリアムクラシックの開発チームのひとつであったETCDEVが活動停止となっています。
取引所の通貨ペアの見直し
2つ目のデメリットは、仮想通貨取引所が通貨ペアの見直しを行っていることです。
現在の弱気市場は取引所にも影響を及ぼしています。
世界的な仮想通貨取引所であるバイナンスも、強気市場であった2018年1月と比べて取引量が90%も減少しているとCEOであるジャオ・チャンポン氏自らが発言しました。
このような背景もありバイナンスは、2018年11月にバイトコイン・チャットコイン・イコノミ・トリガーズという4銘柄の上場を廃止しています。
香港を拠点としている仮想通貨取引所であるOKExも、流動性の欠如などの理由から2018年10月、11月と合計で40を超える仮想通貨・トークンの上場廃止あるいは通貨ペアの取り扱い停止を発表しています。
マイナーの減少
3つ目のデメリットは、マイナーの減少です。
マイニングには仮想通貨を報酬として受け取ることができますが、マイニングそのものに電気を消費します。
焦点となるのは、マイニングの電気代を報酬の仮想通貨を上回ることができるかどうかです。
強気市場では銘柄にも寄りますが、マイニングで収支を黒字にすることが比較的容易でした。
しかし弱気市場では限られた銘柄しか黒字にすることが出来ず、そのためマイニングを諦め、マイニングマシン自体を売りに出すマイナーも出てきています。
マイナーの減少はビットコインのハッシュレートにも反映されており、2018年1月以降もビットコインのハッシュレートは、多少の変動するものの基本的には上昇を続けていました。
しかし8月から10月の6,000京(けい:1京は1兆の1万倍)付近を上限に下落を開始、2019年2月現在では4,000京から4,800京前後で推移しています。
まとめ
弱気という単語から良くない印象を持つ人がいるかもしれません。確かに弱気市場にはデメリットも多いものも、いくつかメリットがあります。
これらのメリットを上手く生かした仮想通貨は、今後強気市場に入った時に飛躍する可能性を秘めています。
またデメリットで紹介したハッシュレートの減少ですが、必ずしもデメリットだけとは限りません。
ハッシュレートの減少はマイニング難易度の低下でもあるので、今後マイナーが増えることも期待できるためです。
マイニングに関する環境の変化が強気市場へ転換する引き金になるかもしれません。
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