ビットコインの取引方法には大きく以下の3種類があります:
- その場で実際にビットコインを売り買いする現物取引
- ビットコインを持っているという仮定のもとで行われるビットコインFX
- 現在の相場で将来的にビットコインの取引を行うビットコイン先物取引
今回は現物取引・ビットコインFX・先物取引の違いについて解説します。
ビットコインの3種類の取引方法の違い
ビットコイン先物取引とは
ビットコイン先物取引の特徴は、取引時の相場で将来的にビットコインを買ったり売ったりできるところです。英語ではbitcoin futuresあるいはbitcoin futures tradingと呼ばれています。
「将来的に」という部分がビットコイン先物取引で大きな意味合いを持っています。いつ頃実際に取引するかによって取引内容が大きく異なるためです。
例えばアメリカの証券取引委員会(Securities and Exchange Commission:SEC)でビットコイン先物取引を認められているシカゴマーカルタイン取引所(Chicago Mercantile Exchange:CME)では、2019年5月・6月・7月・9月など一部の月を除いて個別に取引が行われています。
ビットコイン先物取引が行われている取引所
ビットコインの先物取引は一般的な仮想通貨取引とは異なる認証が必要になります。そのため現物取引やビットコインFXを行っている取引所であっても、ビットコイン先物取引を行っていないことが多いです。
SECの認証を受けた取引所はCME以外にシカゴオプション取引所(Chicago Board Option Exchange:CBOE)があります。ですがCBOEではビットコイン先物取引の更新を停止しました。これによりSEC認証下でのビットコイン先物取引は、CMEのみとなります。
またSEC以外が認証したビットコイン先物取引も存在します。
世界的に展開している仮想通貨取引所クラーケンは、英国金融行為規制機構(Financial Conduct Authority:FCA)からビットコイン先物取引の認可を受けたクリプトファクトリーズの買収を2019年2月に発表しました。
これによりクラーケンはビットコイン先物取引が可能となりました。2019年5月現在ではビットコイン以外にもイーサリアム・ライトコイン・ビットコインキャッシュ・リップルの計5銘柄が先物取引を行うことができます。
現物取引・ビットコインFX・先物取引の違い
3種類の取引のうち、現物取引と先物取引は実際のビットコインを扱います。ただし先物取引で扱うビットコインと現物取引のビットコインは同じ意味合いではありません。ビットコイン先物取引は限月(げんげつ)という制度があるためです。
限月とは取引期限を意味します。英語名はcontract monthあるいはdeliver monthなどです。限月を迎えると強制的に反対側の取引が敢行されます。先物取引で売りから入った場合は買い、買いから入った場合は売りが行われるわけです。
特に注意したいのは先物取引でのビットコインの扱いです。現物取引では実際にビットコインの売り買いを行います。しかし先物取引では取引所からビットコインを借りたという形で行われます。
限月を迎えると借りていたビットコインが回収されるという意味でもあります。
含み益を抱えた状態で限月を迎えた場合は、決算により利益として計算されます。しかし含み損を抱えた状態で限月を迎えた場合は、利益ではなく損失です。
またビットコイン先物取引ではレバレッジをかけることが可能です。レバレッジをかけると、実際に取引金額に一定の倍率をかけて取引を行うことが出来ます。
例えば4倍のレバレッジをかけた状態だと、1BTC分の金額で4BTC分まで取引を行うことができます。50倍などの高いレバレッジをかけることが出来る取引所であれば、1BTCで50BTC分の取引が可能というわけです。
レバレッジをかけると利益もレバレッジ分だけ増えることになります。レバレッジなしでは10万円分の利益であっても、4倍のレバレッジをかけていると40万円分の利益です。
ただしメリットだけではありません。損失もレバレッジ分だけ増えることになるためです。レバレッジなしで10万円の損失であれば、4倍のレバレッジをかけた状態だと40万円分の損失ということになります。ハイリスクハイリターンな取引方法といえるでしょう。
レバレッジ取引はビットコインFXや先物取引で可能です。現物取引では行えません。
この他の違いとして、土日の取引があります。ビットコインを始めとする仮想通貨の取引は土日でも行われています。しかし先物取引は土日は取り扱っていない場合もあります。
まとめ
ビットコイン先物取引を行っている取引所は2019年5月現在では限定的です。既に先物取引の申請を行っている企業も存在しており、今後増えてくることが予想されます。
しかしビットコイン先物取引は現物取引ともビットコインFXとも異なる特徴を持っています。先物取引を検討している人は、先物取引の特徴を十分に理解した上で取引を行いましょう。