仮想通貨に対する考え方は国や地域によって異なり、日本のように基本的には寛容な国もあれば、中国のように規制を強めている国も存在します。
また寛容な国であっても、マネーロンダリング対策・サイバー攻撃対策・税金の処遇など抱えている問題は少なくありません。
2018年もそれぞれの国で動きがありました。
今回は2019年1月段階で世界第2位の人口を誇るインドでの2018年の仮想通貨の動きを紹介します。
2018年以前の動き
2016年末から2017年末にかけてのビットコインの高騰もあり、インドでも仮想通貨は普及していました。
インド国内にもUnocoin(ウノコイン)、Zebpay(ゼブペイ)といった仮想通貨取引所が設立し、多数の顧客を抱えています。
また2017年9月には仮想通貨リップルを発行しているリップル社が、インドのムンバイに事務所開設しました。
しかし一方でインドで中央銀行の役割を果たしているインド準備銀行(RBI:Reserve Bank of India)は、仮想通貨を規制する方向で話を進めていました。
2018年1月
インド財務省が仮想通貨を本質的な価値がない、詐欺にみられる方法のひとつであるポンジスキームだという認識を示しました。
これによりインド政府の仮想通貨に対する考え方が明らかになっています。
この段階では仮想通貨に対する明確な規制はありませんが、インドステイト銀行やアクシス銀行などの複数のインドの主要銀行が通貨取引用口座を封鎖、あるいは機能制限を行いました。
2018年4月
銀行に対してインド準備銀行は、仮想通貨に関する個人や企業に対するサービス提供停止するように通達を出します。
ここから本格的にインド準備銀行による仮想通貨の規制が始まりましたが、サービス提供停止は即座に発効するものではなく、3ヶ月の準備期間が設定されています。
これらの規制を実施した理由としてインド準備銀行は、消費者保護やマネーロンダリングへの懸念を挙げました。
このインド準備銀行の決定に対し、インドの仮想通貨コミュニティや仮想通貨関連会社が反発し、また異議申し立てをするために著名運動を開始したのも、2018年4月です。
この運動では、1万7,000人を超えるインド国民の著名が集まりました。
なお、この段階での対立はインド準備銀行と仮想通貨コミュニティなどに参加するインド国民によるものです。
インドの投資家であるパンカジ・ジェイン氏のツイッターによると、インド政府は禁止したわけではないと結論付けられています。
また同月、インドの仮想通貨取引所であるコインセキュアから約438BTCの消失が確認されました。
2018年5月
インド準備銀行とインド国民による著名運動との対立は法廷へと持ち込まれました。
ただし2018年5月段階行われた議題は、インド準備銀行の発行したサービス提供停止に対しての規制の仮差し止めのみに限定されています。
この段階でのインド最高裁の判決は、仮差し止めを認めないというものでした。
2018年7月
仮想通貨に関する個人や企業に対するサービス提供停止の準備期間が終わり、本格的に実施されるようになります。
更に最高裁に対してインド準備銀行は、国内での仮想通貨全体を規制するように一歩踏み込んだ要請を起こしました。
この要請に対する審問は7月20日の予定でしたが、9月11日まで延期されています。
2018年9月
インド準備銀行の要請に対する最高裁判所の最終審問が再度延期されます。
更に同月にはインドの大手仮想通貨取引所であるゼブペイが地中海の島国マルタへと移転しています。
マルタには世界的大手の取引所であるバイナンスも移転しており、数多くのブロックチェーン関連企業が集まりつつあります。
2018年10月
インド大手の仮想通貨取引所であるウノコインが、インドでは初となるATMの設置を試みました。
しかし正式な許可を取っていなかったために、ウノコインの共同創業者であるハリシュ・ビーヴィ氏と最高経営責任者であるサトヴィック・ヴィシュワナ氏の2名が逮捕されています。
同月、再びインドの最高裁判所で審理が再開されています。インド政府が設置していた仮想通貨検討委員会の内容を報告する書類を2週間以内に提出するように要請しました。
2018年12月
インドの英語メディアであるCNBC TV18によると、インド国内での仮想通貨の取り扱いを全面的に禁止する方向で政府の調査委員会は、インド準備銀行に提案しているという報道が行われました。
更に同月、インド準備銀行の総裁であるウルジット・バテル氏が2019年9月まで任期を残していましたが辞任しています。
新総裁には、前財務官僚であるシャクティカンタ・ダス氏が任命されています。
まとめ
インドでの仮想通貨問題は2019年1月段階も不透明です。2018年で発展したことは、インド準備銀行が本格的に仮想通貨の規制に乗り出したこと、インド国民は規制に対し反発していることの2点だけです。
裁判所の決定もインド政府の態度も明確にはなっていません。
これら不明確な状況に逮捕者まで出ていますが、まだしばらくは先行きの見えない状況が続くでしょう。
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