2018年2月、アメリカ最大手の仮想通貨取引所であるコインベースに仮想通貨リップルが上場しました。
通貨ペアもひとつだけではなく、XRP/USD、XRP/BTC、XRP/EURと既に3種類の通貨ペアが用意されています。
特にXRP/USDの取引量は多く、コインベースで取り扱っている全通貨ペアの中でも3%前後の取引量を誇ります。BTC/USDの取引量が40%前後あるので、アルトコインと法定通貨の組み合わせでは5位前後という位置です。
金額にすると1日で200万ドル(約2億2,000万円)以上がXRP/USDの通貨ペアだけで動いていることになります。
XRPの相場もコインベース上場に合わせて大きく反応しました。1XRP=33円前後から1XRP=36円前後へと10%近い高騰を見せています。しかし高騰は一時的なもので、2019年3月現在は1XRP=33~35円前後に留まることになりました。
今回はコインベースに上場したものの高騰が一時的に留まった理由についてまとめます。
コインベースに上場したが高騰が一時的に留まった理由
1.証券問題
仮想通貨のあり方については各国で異なっています。その中でも特に注目されているのがアメリカの証券取引委員会であるSEC(U.S. Securities and Exchange Commission)です。
2018年9月、コーポレートフィナンシャル部門の部長であるウィリアム・ヒンマン氏が仮想通貨のあり方について発言しました。その時の発言の中で同氏は、仮想通貨が分散化されていることと仮想通貨の資金調達方法(ICO)について触れています。
そして十分に分散化されているという理由からビットコインとイーサリアムは証券ではないとも言及されました。
しかし同様の理由から考えるとリップルは証券に分類されることになります。なおウィリアム氏はリップルについて直接的には触れていません。
2.訴訟問題
リップルの扱いについては訴訟にも発展しています。2018年6月からリップル社は投資家から集団訴訟を受けていました。内容はXRPを証券として登録するべきだというものです。
この訴訟は当初、リップル本社もあるカリフォルニアの上位裁判所で争われていました。しかし2018年11月に連邦裁判所へと移転しています。
その後再び州レベルで裁判するべきという原告からの主張もありましたが、2019年3月にカリフォルニア州地方裁判所にて連邦レベルで裁かれるべきという判決が下されました。
この訴訟は、東京六本木にもオフィスのある弁護士事務所スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロムLLPが担当しています。
3.ニュートリノ関連疑惑
上記2つはリップル社関連の問題でしたが、コインベース側でも問題が発生しています。2019年2月にコインベースが買収したブロックチェーン分析会社であるニュートリノに疑惑が向けられました。
コインベースはこれまでにも買収を行っていました。今回のニュートリノの買収もコインベースが買収を行った企業のひとつです。更にニュートリノとはリップル社が2016年3月に設立したロンドンオフィスとの統合も予定されていました。
コインベースがニュートリノに期待していた動きは、新しい資産の調査と仮想通貨の交換で外部の企業に内部情報を渡すことなく盗難のような望ましくない行為を識別するというものです。
ブロックチェーン上では盗難が発生した場合でも、盗難者のアドレスは確認できます。このアドレスを追跡し、取引所など本人確認を済ませたアドレスを見つけるという仕組みです。
PCにウィルスなどを感染させ身代金などを要求するランサムウェア、一部のブラウザでしかアクセスできないダークネットまでニュートリノは追跡していました。
このニュートリノの創設者がイタリアの有名なIT会社であるハッキングチームを率いた人物と同一であるという指摘があり、SNS上では#DeleteCoinbaseというコインベース口座削除運動にまで発展します。
このハッキングチームは、新聞記者を殺害したサウジアラビア執行部への協力やエチオピア政権による外国人反対派の活動支援などを行ったという報道がありました。
このような動きもあり、ニュートリノのメンバーはコインベースから退職しています。
まとめ
今回まとめたのはリップルにとって悪い材料です。ただし現在のリップルには悪い材料ばかりではありません。
仮想通貨リップルの発行・管理元であるリップル社自体は、地元であるカリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアで最も人気のある会社のひとつに選ばれています。
2019年3月現在ではカナダの仮想通貨取引アプリであるコインベリーが取り扱いを開始、同じくカナダの仮想通貨取引所ビットバイがリップルを上場の決めました。
世界最大手の仮想通貨取引所バイナンスのCEOであるジャオ・チャンポン氏がリップルとの連携について触れています。
今回紹介したマイナス材料の影響をどれだけ抑えられるかによって、今後のリップルの相場は変わってくると思われます。