2019年3月、金融庁にも認可されている仮想通貨取引所リキッドバイコインのXRP/JPYにてサーキットブレーカーが発動しました。サーキットブレーカーとは短時間の内に大きく相場が変動した時に取引所側が取引を停止させるという仕組みです。
サーキットブレイカーは他の取引所でもたびたび発動しており、今回はそんなサーキットブレーカーについて解説します。
サーキットブレーカーとは
本来の意味でのサーキットブレイカー
本来の意味でのサーキットブレーカーは、電気の流れる回路や電線の保護を目的とした電流の遮断機です。ここでいうサーキットは回路を意味しています。
漏電時など過剰な電流が流れると、回路や電線は負荷に耐え切れずに故障することがあります。そこで電流を遮断し、回路や電線を保護するわけです。
仮想通貨業界でのサーキットブレーカー
仮想通貨でのサーキットブレーカーは、価格が大きく動いた時に取引所側が強制的に一定時間取引を停止するというものです。
本来の意味のサーキットブレーカーは回路や電線の保護ですが、仮想通貨業界でのサーキットブレーカーは顧客の資金を守ることが目的となります。日本国内では2017年6月にビットフライヤーが導入しました。
現物取引でのサーキットブレーカーならばただの下落や高騰ですが、仮想通貨FXであれば最悪ロスカット(損切り)が発生することも少なくありません。仮想通貨はボラティリティ(相場の値動き幅)が大きいため、サーキットブレーカーが発動しなければ大きな利益を得られたということもあります。
なお仮想通貨だけではなく、株式や先物取引などでもサーキットブレーカー制度は取り入れられています。
これまで発生したサーキットブレーカー
サーキットブレーカーは2017年11月、2018年1月、2019年2月にビットフライヤーにて発動しました。特に2018年1月はビットコインの大幅下落と時期が重なったこともあり、一定時間取引停止するサーキットブレーカーが同じ日に4回で発動しています。
そのほかには2018年11月、2019年3月にもリキッドバイコインにてサーキットブレーカーが発動しました。2018年11月のサーキットブレーカーはBTC/JPY・ETH/USDの2つの通貨ペア、2019年3月はXRP/JPYにてサーキットブレーカーが確認されています。
サーキットブレーカーの問題点
サーキットブレーカーには2つの問題点があります。ひとつ目は取引所ごとの値動きの差です。株式や先物取引では、どこの取引所でもほぼ同じ値動きをしています。しかし仮想通貨では取引所によって値動きが異なります。
例えば2019年3月にリキッドバイコインで確認されたサーキットブレーカーは他の取引所では発動していません。これは他の取引所ではリキッドバイコインほど大きな値動きを見せなかったことによるものです。
またこの時のサーキットブレーカーはリキッドバイコインのメンテナンス時間に該当していることから、メンテナンス時間を狙った仕掛けの可能性も指摘されています。
株式やFXでは土日に取引を行っていないため、取引所も土日にメンテナンスを行うことができます。しかし仮想通貨は365日24時間取引を行っているため、このようなメンテナンス時間を狙った仕掛けが可能になるわけです。
取引所間で値動きに差があるのは投資家にとってメリットも存在します。取引所間での差額は狭くなっていくため、今後の値動きが予想しやすいという特徴があります。この取引方法はアビートラージと呼ばれています。
サーキットブレーカーの問題点2つ目はレバレッジです。サーキットブレーカーが発動しても現物取引ならば相場に値動きだけです。将来的に相場が戻り、利益に転じる可能性も残されています。
しかし仮想通貨FXでのサーキットブレーカーは最悪ロスカットを意味します。特に大きなレバレッジをかけていると損失額も大きくなります。
金融庁認可済みの全ての取引所及び数社の未認可取引所が所属している日本仮想通貨交換業協会はレバレッジ倍率を4倍にするべきだという自主規制を表明していました。
これに合わせる形で2019年2月にビットポイントが最大レバレッジを25倍から4倍へと変更しました。2019年4月からビットフライヤーでも最大レバレッジが4倍、2019年5月からリキッドバイコインも最大レバレッジを4倍にする予定です。
まとめ
取引所の選び方のひとつにセキュリティがあります。仮想通貨取引所には取引所自体が所有している仮想通貨だけではなく、顧客所有分の仮想通貨や法定通貨も存在しています。
これらの通貨を守るために、取引所は個別にセキュリティの強化を行っています。セキュリティの審査機関も存在し、どの審査機関に確認してもらったかもセキュリティの目安のひとつです。
ただしセキュリティ以外にも取引板の強度や値動きの激しさも取引所選びの重要な視点のひとつです。値動きの激しい取引所では大きな利益を得られる可能性もありますが、サーキットブレーカーで大きな損失を被る危険性もあります。
取引所がサーキットブレーカーを導入しているかどうかも取引所選びの参考にしてみてはどうでしょうか。