取引マイニングとは仮想通貨同士の取引を行うだけで取引所が独自に発行している仮想通貨を貰えるというものです。英語ではtrade mining、trading mining、transaction fee miningなどと言われています。
今回はそんな取引マイニングについて解説します。
取引マイニングとは
取引マイニングの概要
中央集権型の仮想通貨取引所では、一定額の取引手数料を徴収しています。手数料の割合は取引所によって異なりますが、多くの取引所では0.05%~0.15%ぐらいに設定しています。
こうした取引手数料は、トランザクションを処理するマイナーへの手数料や取引所への利益などになります。取引マイニングは取引所発行の独自通貨の保有数に応じて、利用者に利益を還元するという試みです。
取引マイニングのメリット・デメリット
メリット
仮想通貨を売り買いすることで得られる利益をキャピタルゲインといいます。キャピタルゲイン自体は仮想通貨だけではなく、FXや株など取引全般に使われている用語です。
キャピタルゲインに対し保有しているだけで得られる利益はインカムゲインといわれています。株の配当金などがインカムゲインにあたります。仮想通貨でインカムゲインにあたるものは多くありません。そのひとつが取引マイニングです。
取引マイニングのメリット・デメリットは、そのままキャピタルゲインとインカムゲインのメリット・デメリットでもあります。
キャピタルゲインのメリットは、いつでも利益を上げられるチャンスがあることです。トレンドの流れを読んだり取引所ごとのスプレットなどを知っておいたりする必要がありますが、24時間いつでも取引を持ちかけることが可能です。
デメリット
一方キャピタルゲインのデメリットは、取引タイミングを見誤ると大きく利益を損ねる危険性があることです。場合によっては損失へと転じます。どこまで値上がりするかある程度正確に分析しておく必要があるわけです。
これらのキャピタルゲインの特徴に対しインカムゲインは、銘柄ごとの細かい分析をする必要はありません。一定期間ごとにある程度の利益を計算することができるわけです。
キャピタルゲインは短期間に大きく利益を稼ぐことが出来る反面、損失の危険性もあるハイリスクハイリターンの取引方法です。
一方インカムゲインは長期間かけて少しずつ利益を重ねるローリスクローリターンの取引方法ということになります。
取引マイニングの歴史
取引マイニングを真っ先に導入したのは日本対応も視野に入れている仮想通貨取引所エフコイン(FCoin)です。エフコインはフォビ(Huobi)の元最高技術責任者(CTO)である張健氏が2018年5月に立ち上げました。
2019年4月段階でもエフコインは運営されており、ビットコイン・米ドルテザー・イーサリアムの3銘柄を取引ペアの軸にライトコイン・イオス・リップルなど20銘柄以上が取り扱われています。
エフコインが取り扱っている仮想通貨のひとつにエフコイントークン(FT)があります。これがエフコインが独自に運営している仮想通貨です。
エフコインでは取引をするたびに取引額に応じたエフコイントークンをもらうことが出来ます。利用者全員が前日にマイニングで手に入れたエフコイントークンの数量やテザー換算した取引総額などもエフコインのトップページで公表されています。
エフコインは取引総量の80%を還元すると公表しています。前日の取引高が100万テザーであれば80万テザーは利用者に還元されています。この数字と各利用者のエフコイントークン保有量から配当金を計算することが可能です。
エフコイントークンは決して高額なトークンではありません。2019年4月段階でも1FT=10円前後で取引されています。時価総額ランキングでいうと1,000位にも入らない程度です。
このように価格や時価総額が伸びない理由は、エフコイン以外の取引所で取引されていないことにあります。
エフコインは日本対応を考えエフコインジャパンも立ち上げています。こちらでも取引マイニングを実施し、独自仮想通貨エフコインジャパントークン(FJ)を発行しました。エフコインジャパントークンは既に46億枚が流通しています。
取引マイニングの将来性
取引マイニングは比較的新しい考え方で、取り入れている取引所も増えつつあります。一方で取引マイニングを新しい形のICOと見なす動きもあります。世界的大手の仮想通貨取引所バイナンスのCEOであるジャオ・チャンポン氏も取引マイニングに対して否定的な見解を示している1人です。
仮想通貨取引所はセキュリティがしっかりしている、取引相手がいれば円滑に取引できるなどの利用者との信頼で成り立っています。しかし利用者でも容易には判断できない裏の事情があることも否定できません。
まずは取引所が信頼できていること、今後の見通しが立っていることを確認した上で投資することをお勧めします。