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VISA:暗号資産への取り組みに進展が

クレジットカード最大手企業VISAが、デジタル通貨・暗号資産分野への参入に意欲的な姿を見せています。 コインベース等の暗号資産企業と提携しVISAカードを発行、カストディ企業アンカレッジへの投資、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の政策提言に関する協力など、昨今の暗号通貨分野での活動は多岐に渡っています。 またVISAの公式ブログによると、現在は世界中で25を超えるデジタル通貨ウォレットがVISAにサービスをリンクしており、ユーザーは、保有している暗号資産の残高を全てのVISA加盟店で簡単に使用できるということです。 VISAは「これまでの専門知識である取引データの保護、多様な利害関係者との連携、継続的な可用性を備えた常時接続ネットワークの維持などを活かして、新しいネットワークや技術に適用していく。」とコメントしています。

法定通貨と暗号資産を結ぶネットワーク

Terry Angelos氏は米大手取引所コインベース等との提携について「SWIFTのような『ネットワークのネットワーク』を作るという最近の戦略の一環が今回のVISAが行なったような事柄である。」と語っています。 7月、最大手暗号資産取引所バイナンスは欧州でVISAデビットカード「Binance Card」を間もなくローンチすると発表し、すでに欧州ではユーザーへの発送が行われているとの情報も出回っています。 また上記のカードでは事前に暗号資産を法定通貨に両替しておかずとも、ビットコイン・バイナンスコイン・Swipeの独自暗号資産SXP「バイナンスUSD」により、200超の地域に及ぶ6,000万以上の店舗で決済可能であるということです。

CBDCへの熱心な取り組み

また各国政府が中銀発行デジタル通貨(CBDC)を発行する場面でも、VISAは意欲的な姿を見せています。 Cuy Sheffield氏によるとCBDCには民間ステーブルコイン発行者と同様に以下のような課題があるという。
  • 消費者フレンドリーであること
  • ユーザーが多様なウォレットを使用して、資金にアクセスし、それを保護できること
  • 資産が有用であるためには商店で受け入れられる必要がある
以上の解決についてVISAは「中央銀行や民間のステーブルコイン発行者に同社のネットワークや専門知識を活用して貢献することができる。」とコメントしました。 暗号資産カストディ企業アンカレッジへの投資もこうした企業が将来CBDCの保管を行う可能性も見越してのことであったと示唆しています。 さらに今回導入されたオフライン決済はCBDCに関して注目される機能ともなり得るものであるため、VISAはオフライン決済機能を安全に行うための技術的課題にも取り組んでいるという事実も明らかになっています。 また、VISAは2019年11月に中央銀行向けの「デジタル法定通貨」の特許申請を提出しているため、すでにデジタルドルやデジタル円、デジタルユーロなど中央銀行が発行し得るCBDC発行に適用できるものとなっています。