仮想通貨の運営を行う上でブロックチェーンの承認や確認を行うマイニング作業は必要不可欠な存在です。
しかしマイニングに特化した回路ASICの誕生によりマイニングの意味合いは大きく変化し、企業による大規模なマイニングが普及していきました。
2019年3月現在、マイニングの意味合いはまた大きく変化しようとしています。
今回は日本国内でのマイニング事業の移り変わりについてまとめていきます。
国内マイニング事業の変遷
弱気市場がマイニングに及ぼす影響
2017年末のビットコイン相場の下落以来、仮想通貨は苦しい時間を過ごしています。2019年3月現在の仮想通貨市場は1BTC=30万円~40万円前後と、最高値の5分の1程度になりました。
2017年のビットコイン相場高騰の時期を強気市場、ビットコイン相場下落後を弱気市場と呼ばれています。
この弱気市場はさまざまな形で仮想通貨業界に影響を及ぼしています。マイニング事業に関しても同様です。マイニングには電力を使用するためマイニング報酬が電力料金を上回らなければ、事業としては赤字を計上することになるためです。
そのためマイニング工場の多くは土地と電気が安い北方地方に集中しやすい傾向にあります。
ただしこのような立地条件でも現在の弱気市場ではマイニング報酬が安く、多くのマイニング企業が苦戦を強いられています。
ASIC開発元であり、ビットコインのマイニングで高いハッシュレートを誇るアントプールとも関わりのある企業としてビットマインがあります。このビットマインでさえもマイニング事業が大きく傾いています。
2018年第3四半期の決算報告では5億米ドル(約550億円)もの赤字を報告しました。ビットマインCEOであるジハン・ウー氏の退任報道が出ているほどです。
GMOマイニングのその後
日本のマイニング事業も同様に大きな打撃を受けています。その代表格となるのがGMOマイニングでしょう。
GMOマイニングはGMOインターネットグループに所属しているグループ企業です。実際に仮想通貨のマイニングを行うだけではなく、マイニングマシンの開発も行っています。
2018年6月には7nmチップを使いASICを搭載した最新のマイニングマシンGMO マイナー B2の販売を開始しました。2018年7月には更に高いハッシュレートを誇るGMOマイナーB3の販売が開始されています。
また海外を拠点にしたマイニング事業を行い、2018年11月のマイニング事業ではビットコイン696BTC、ビットコインキャッシュ400BTCの採掘に成功したと報告しています。12月にはビットコインキャッシュの採掘はなかったものの、ビットコインは960BTCを採掘しています。
個人投資家に投資を募るクラウドマイニングも視野に入れ、事業展開が計画されていました。
これだけの採掘実績のあるGMOマイニングですが、最終的には資産回収困難という判断を下しています。2018年12月の発表によると、マイニング事業とマイニングマシンの開発・製造・販売による損失は約355億円です。
マイニング事業そのものに関してGMOは、より安い電力が得られる地域へと移転することで継続することを検討しています。しかしマイニングマシンの開発や製造に関しては中止することを発表しました。
DMMマイニングファームのその後
DMMマイニングファームは石川県金沢市につくられました。2018年1月から事業開始、3月には1,000台ものマイニングマシンを使って採掘を行う予定でした。
銘柄にも拘らず、ビットコイン以外の仮想通貨もマイニングすることで利益を上げるという計画も打ち出しています。
また同ファームには2018年3月からショールームとして一般公開も予定されていました。しかし世界規模でマイニングマシンを盗むという窃盗事件も発生し、セキュリティ上の問題から6月には中止となりました。そして12月に事業撤退となっています。
その他の日本国内マイニングファーム
DMMマイニングファーム以外にも日本国内にマイニングファームは存在します。そのひとつが熊本電力と提携しているOZマイニング株式会社です。
同社は2018年8月1日から本格稼動しており、2020年3月にマイニングマシン1万4,000台で毎月9,000万円の売上を目指しています。また1箇所でマイニングをするのではなく、複数個所にマイニングファームを設立する計画です。
他には秋田県鹿角市の支援を受けているマイナーガレージも存在します。
まとめ
世界的にマイニングファームは不況に陥っています。ビットコインのハッシュレートも2018年10月末あたりまでは増加し、5,000京~6,000京ハッシュレート/秒となっていました。しかしその後は下落し、4,000京~5,000京ハッシュレート/秒で安定しつつあります。
ですが全ての仮想通貨の相場が落ちているわけではありません。バイナンスコインなど一部の仮想通貨は高騰の気配を見せています。明確な指針を持っているマイニングファームだけが今後生き残れるのかもしれません。