Interview

慶應ブロックチェーン研究会【CryptoLions】

みなさん何歳の時から仮想通貨を知りましたか?

慶應義塾大学へ入学したばかりの大学生は、ブロックチェーン業界の挑戦者だった。Crypto ”Lions” の名に相応しい研究会を取りまとめる代表、吉川飛空(ひたか)さんにインタビューを行いました。

慶應ブロックチェーン研究会CryptoLions

団体の設立

3月末に東京大学のBitPenguinの運営の元で開催されたEthereum Meetupに参加して、ブロックチェーンの流れが来ていると吉川さんは感じ慶應大学にも研究会があっていいと確信したそうだ。しかしブロックチェーンは非常に面白いにもかかわらず、また東京大学、早稲田大学、東京工業大学などには団体が存在しているにもかかわらず、慶應大学には確固たる団体がなかった。そのため、大学入学直後ながら代表としてCryptoLionsを起ち上げ、更に以前から存在していた団体をも吸収合併してしまったという。

団体の目的

前提として、ブロックチェーンのアイデアは不完全だと吉川さんはいう。シェアリングエコノミーを後押しする強力なファクターだが、ブロックチェーン自体は様々な機能を備えたタイムスタンプでしかない。物事の前後関係を明らかにするものでしかない。その利用方法を考えた時に、フィンテックだけではもったいないと思ったそうだ。

■開発スピード向上

例えばブロックチェーンは自動運転車も情報保護のスキームとして使われていたりする。また、パソコンの容量を他者に貸してお金が稼げるブロックチェーンストレージサービスなどもある。そのようなサービスは、純粋なエンジニアが集まっただけでは開発スピードが遅いという。

■計画的偶発性・新しいアイディアの創造

それに対する一つの解が、考えもしなかったようなことが起こるチャンスを自分達で進んで作る「計画的偶発性」だ。全く関係のない分野の人達が集まりブロックチェーンについて語り合ったり、突飛な考えの持ち主にブロックチェーンについて教育したりして、次世代の「妄想家」が何かを形にしたいと思った時にブロックチェーンのアイデアを活用できるようにしたいという。

■体系的な学習環境の創作

CryptoLionsの目的の一つは、ブロックチェーンを知らない人に体系立った勉強をさせることであり、何から学べばよいか分からないメンバー向けに独自のテキストを作成しているそうだ。そうして情報の取捨選択の手間を省くこともCryptoLionsの魅力にしたいという。無知で、すっとんきょうな、滅茶苦茶なアイデアを出せる人にブロックチェーンの知識を叩き込みたいという。それは吉川さんが、技術的に不可能なアイデアでもいつかエンジニアが形にしてくれると信じているからだ。そしてアイデアが実現して誰がどのように幸せになれるかが重要なのだという。

■国内エンジニアへの海外情報提供

プログラミングができなくてもアイデアは出せる。そのため活動の一環として、簡易的なアイデアソン、ホワイトペーパーの通読、ホワイトペーパーの翻訳などを予定しているという。国内だけでは圧倒的に情報が足りないため海外の情報を翻訳して発信することも検討している。それは英語力が担保されている慶應大生だからこそ可能であり、またエンジニアの代わりに情報提供を担おうという試みでもある。そして、まだ日本には到達する以前の情報をエンジニアへ提供することも視野に入れているそうだ。

今の課題と解決策

■エンジニアの呼び込み

アイデアベースの活動団体のため、実装などを主な活動とするエンジニアをどのように呼び込むかが課題だという。解決策として、学内のブロックチェーンラボと連携したり、授業料を取れる学習会を企画したりしようとしている。あくまでブロックチェーンのアイデアを広げることに貢献する活動をしたいそうだ。

活動方法と吉川さんの想い

CryptoLionsの活動はオンラインチャットアプリのDISCORD上で行われている。現時点では物理的に集まる定例会のようなものはない。費用も労力もかからず、匿名性も尊重されている。そのように参加のハードルが低いためか、活動開始一ヶ月で既に40人ものメンバーがいる。オフラインでのイベントも計画中で、例えば著名人を登壇者として呼び勉強会をすることも考えているそう。

何よりもダイバーシティを重視しており、全アイデンティティを問わず、インカレ生も絶賛募集中だそうだ。コアメンバー数名を中心として、2,3年生かつ経済系の学生が大半を占めるが、社会人もいる。たとえ80歳のおじいちゃんでも大歓迎だそうだ。このポリシーは、「慶應」の名を借りてブロックチェーンをなるべく多くの人に広めたいという思いから来ている。

代表者がいて代表者がいないという団体でいいと吉川さんは言う。実体があって無いような存在、いわばブロックチェーンのコンセプトでもある自律分散型を具現化するような団体を目指している。吉川さんの役割は何かを求める人に最適なものを与えるコミュニティマネージャーであるという。

一方でエンジニアが離れていくことも憂慮しているそうだ。それでも、いかにブロックチェーン研究会が研究会らしくあるかという点に遊びを持たせて成長可能性を探っていきたいという。

毎週の活動の中でアイデアの種が5~10程度出るが、言語化したり形にしたりすることは知識が不足したりしてまだまだ難しいという。コアメンバーとして「妄想」されたものを言語化し形にできる人を育てることも課題だそう。

一見実現不可能なことを考えることを「妄想」すると吉川さんは言う。バイアスを通して、常識や現実を通して、色々なアイデアを考えることが「想像」で、誰でもできることだそう。本当に革新的なアイデアは「妄想」から始まっている。「妄想」し、言語化し、実装に繋がる活動に焦点を当てたいという。

一方で、生まれたアイデアをどう扱うかを決めかねているそうだ。個から生まれたアイデアについて、分散型で非中央集権的団体が安易に介入していいのか疑問がある。あるアイデアについてディスカッションしたい者同士が集まり勝手に活動してくれたらベストだが、誰も拾わないアイデアは貯めておいて、将来的にDISCORD外へ無料で公開する構想もあるそうだ。それについては著作権が関わる問題でもあるので、公平に、平等に解決策を模索していきたいという。特定のアイデアについてCryptoLionsの枠をはみ出して、DISCORD内でコミュニティが勝手に生まれることも目論見の一つだという。

学生だからこそできること

吉川さんは、学生は良い意味で身の程知らずで無知であり、それを武器にできるという。無謀で無知だからこそ、本来はお金を払って講演をしてもらうような著名人に無償で協力を仰げたりする。そのような学生だからこそできることを実現するためにも、活動内容の解像度を高めたり、ビジョンを明確にしたり、権利関係を具体化する必要があるという。

慶應大学だからこそできること

文系と理系が両方存在する総合大学であるがゆえ、初期に参加したメンバーの多様性が保障されている。そして、私立大学として最難関であり一定の教育レベルをメンバー全員がクリアしており、彼らは最新のものに興味を持っている。様々な学部の垣根を超えて何ができるか考えた時、フィンテックや仮想通貨など既存の形を超えてブロックチェーンを多面的にみることができると思ったという。

団体の将来

メンバーの数は国内で最大にしたいそう。なぜならそれが「計画的偶発性」に繋がるからだ。入会希望者の選定基準は現在なく、それが長期的な投資に繋がるという。将来、「妄想者」が飽和状態になってしまった時は、エンジニアをその分入会させたりするかもしれないそう。

分散型のものを題材に扱うにもかかわらず中央集権的な体制は、良し悪しは置いておいてかっこ良くないということで、柔軟に運営していきたいという。ダイバーシティを保障するならば、発言の自由や発言が尊重されることを保障する必要があり、そのようなコミュニティに今後していきたいそうだ。

CryptoLionsは、ブロックチェーン業界に入るべきでない人間を集めた一種の社会実験のような性格も兼ね合わせているだそう。「計画的偶発性」をもたらす大きな実験だ。「妄想者」とエンジニアが繋がることができる 貴重な場としても機能している。既存のブロックチェーンコミュニティではありえないような関係性を構築できる特異な存在になりたいという。パイオニアとして使命を果たしたいと吉川さんは意気込んでいる。

あらゆることが一見自由な団体の印象だが「計画的偶発性」の軸はぶれてはいけないという。偏りなくあらゆる分野の人間がブロックチェーンを通して「妄想」と「想像」をして、思ってもみなかったことが生まれるかもしれない。そのような場と機会を提供するという吉川さんのポリシーは譲れないという。

メンバーを増やしていけば必然的に違う方針の団体も出てくるが、吉川さんはそれがブロックチェーンをより広めることになると考えている。つまり、CryptoLionsの最重要目的はブロックチェーンを広めることなのだ。

学内に授業や研究室はあるか

慶應大学の環境情報学部にはブロックチェーンラボが存在する。ビヨンドブロックチェーンという授業も存在し、慶應大学自体がブロックチェーンに対して力を入れているため、今後連携する道も模索中らしい。アイデアの提供はCryptoLionsが行い、ブロックチェーンラボのエンジニアと共同してサービスやプロダクトにできたら理想的だという。

今後のブロックチェーン業界についてどう考えるか

これから来る5Gの時代には通信速度が今より驚異的に上がる。それにより、通信がより身近になり、通信量が増え、セキュリティが大きなテーマとして再提起される。その時に個々の情報を保護するスキームとしてブロックチェーンが非常に魅力的になると考えているそう。5Gとブロックチェーンがメインテーマの時代が来るという。

TCP/IPというプロトコルがインターネットを支えているが、一般人はそれを意識していない。それと同じように、人々が意識せずに、ブロックチェーンを利用したサービスを使える形こそがテクノロジーとして正しいあり方ではないかという意見もCryptoLionsの中から出ているらしい。フィンテックだけに留まることはもったいないという。吉川さんはブロックチェーンが多くの「妄想者」にとっての共通知識になってほしいという。仮想通貨を支える技術としてしか認識されないことはもったいないということだ。

何ブロックチェーン推しか

プラットフォームとしてはイーサリアム一択だという。誰もが手を付けやすく情報量が多い。またCryptoLionsのポリシーに合うためだという。個人的には、Storjというサービスのように、いわゆる大家のシステムような今まで現実にあったことが、インターネット上でセキュリティが確立されたことで存在するというシステムに非常にわくわくするという。

ビジネスサイドとの連携

現状は特に無い。関わってくれるブロックチェーン企業は現在大募集中。マネタイズは考えていないとのこと。

代表略歴

吉川飛空

神奈川県横浜市出身、横浜育ち。3歳からピアノを始めたクラシック専門のピアニスト。ロシア音楽に昔から惹かれていた。バンドも組んでいる。

ALT(外国語指導助手)や英語の授業が豊富な県立高校へ進学し、心理学に興味を持ち社会心理学の偏見について学ぶ。

アラビア語を専修しスピーチコンテストに出る程の実力者。なんとコーランも読めるという。

県立大学へ入学。その留学プログラムを使い2017年夏にロシアのアストラハン国立大学へ留学。あえて心理学が栄えていない国で心理学を学びたかったという天の邪鬼的側面もある。

アストラハンはスラブ系民族、タタール系、モンゴル人、ムスリム、アラブ人、チェチェン人が混ざるサラダボールで、非常に面白い土地かつロシアの文化が好きだったため留学した。

帰国後、慶應大学へ入学した理由は家から近いから。通学はとにかく便利な大学がよかった。問題解決のフロンティアとして哲学は必須と感じ、人文学部を選んだ。慶應大学は多様性があり偏りがあまりない。自由を大事にする大学だと感じる。

ブロックチェーンは名実伴ってない可愛さがあって、かつ面白い。人工知能、機械学習、深層学習も好き。

意欲感心があり、遊び心があり、粘り強さがあり、フレキシブルに何事も対応できる人間になりたい。それをCryptoLionsのポリシーにも活かしたい。

 

吉川さんは言葉一つ一つのセレクトが独特で、筆者の文章力では表しきれないほど話の随所に哲学的センスを非常に感じ驚嘆するばかりだった。今月で二十歳の成人。しかしやっと成人かと思わせるほど成熟しているCryptoLionsの代表は、まだ始めたばかりの実験をいつどのように形にしてくれるのか、乞うご期待である。

 

慶應ブロックチェーン研究会CryptoLionsは入会希望者を大募集しています!!!

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