Interview

【若人必見】技術者集結!東⼯⼤ブロックチェーン研究会

とある土曜日。日差しが強く初夏を感じさせる暑さの中、筆者は渋谷に降り立った。しかし外の暑さなどよりよっぽど熱い勉強会が某コワーキングスペースで開催されていた。アクティブメンバー8人、Facebookのメンバー34人の勉強会を取り仕切るのは、東京工業大学大学院卒の土屋さん。社会人ながら東工大ブロックチェーン研究会の代表を務める現役のエンジニアだ。今回は、日本の学生団体として最高レベルの技術力を持つ東⼯⼤ブロックチェーン研究会に潜入した。

はじまり

 

土屋さんは2016年の春頃、東京工業大学(以下、東工大)で同じ研究室にいたネツさんがイーサリアムのマイニングを教えてくれたことをきっかけに仮想通貨について勉強し始めた。土屋さんネツさんは大学院1年生時に文部科学省のトビタテ留学JAPAN!という奨学金制度に採用され、それぞれアメリカ、スイスの大学院へ留学した。ネツさんの留学先にはブロックチェーンに関係ある研究室があり、偶然にも寮で隣の部屋の学生がその学科の博士号を取得中だったらしい。その学生がネツさんにイーサリアムのマイニングを教え、それがきっかけで土屋さんもイーサリアムのマイニングを始めたそうだ。


イーサリアムのソフトウェアに触れた土屋さんだが、ハードウェアが専門だったため、なんとネツさんのアドバイスの下、自分でマイニング装置を組み立ててしまったそうだ。

 

団体設立

 

1年間の留学から帰国して、イーサリアムはお金ではなくスマートコントラクトなどがある面白そうなものなので勉強しようと始めたのが現在の団体の発端だった。土屋さん達は学生同士で教材や本を購入して通読する習慣がある非常に勉強熱心な学生達で、例えば「Mastering Bitcoin」を同級生3人で数ヶ月かけて通読したこともあるという。そうして更にブロックチェーンにハマっていったそう。

 

ネツさんとそれぞれ興味のあることについて情報を集めていったそうだが、土屋さんは2017年の秋からブロックチェーン関連のインターンを2つ始めた。1つ目はICOメディアでホワイトペーパーを全文訳する仕事で、そのおかげで色々なICOのプロジェクトが理解できるようになったそう。

 

2つ目はイーサリアム推しのメディアであるCONSENSYS MEDIA JAPANでイーサリアムのテクノロジーについてネツさんと一緒に3~4ヶ月記事を書いたそうだ。執筆と並行してトレーディングシステムやマイニング装置の構築などにも手を出すなど、ブロックチェーン周りの事業をやっていこうと試行錯誤していたという。

 

ブロックチェーンに詳しくなってきたのはよかったが二人は元々半導体系のエンジニアだったこともあり、プログラムなどの実装力に劣ることが弱みだった。しかし東工大生ならできる人がいると考え、自分達が新しいものに触れている分啓蒙し、そこに参加してもらえば活動の幅が広がると思ったそうだ。そして卒業する前に東工大生でコミュニティを作り、2018年3月に研究会が発足された。初期メンバーは5人の濃い面子で、理論物理、エニグマ暗号、マイニングハードウェアで使われるICチップ中素子の試作まで行えるメンバーが揃った。大学院生ばかりだったため専門知識を持ち寄り面白いことができると思ったそうだ。


土屋さんが学生の時は内輪で活動していたが、東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin(以下、BitPenguin)から声がかかり今年4月にOmiseGOのイベントを一緒に開催したことがきっかけで団体の意義を考え直したらしい。東⼯⼤としてコミュニティを作る社会的意義は大きいと考え、スケールアップすべく広告を打ったり、ブログやFacebookに活動内容を書くようになったそうだ。場所も渋谷など他大からも参加しやすいように変更した。


団体の目的

 

ブロックチェーンの技術、実装に根ざした勉強会を開催し、ブロックチェーンエンジニア、熟知者になることだそう。また、ブロックチェーン界隈の情報、知財を共有・集約したり、アイディアを持ち寄って実現するとのこと。学生の勉強の場をつくり、コミュニティを作り、そして東工大から優秀なエンジニアを輩出したいという想いがあるそうだ。


団体の活動内容

 

勉強会は今日で2回目だったらしく、定例勉強会を週に一度開催している。土曜日の午前10時〜または金曜の夜に、都内(渋谷・六本木など)で行っている。定例ではイーサリアム関連技術、暗号学などを学び、また自由発表ではLightningTalkとして実装に関する議論などを行っている。開発プロジェクトとしては、学内で意義のあるDaapsをつくりたいそうだ。


東工大として何をすべきか


土屋さんは4月のイベント以降、BitPenguinとの差別化を意識しているようだ。BitPenguinには社会的にブロックチェーンが何をできるのかというビジネス的視点を持つ人が存在するらしい。広報も存在し、若い人を集めて技術も社会的意義も講義しているそうだ。


一方東⼯⼤ブロックチェーン研究会は比較的歳が上で、専門的かつ全員理工系だ。東大とは地理的にも近いため、差別化をしないといけない。そこで、東工大はエンジニアリングを学ぶ大学のため、技術に特化した勉強をしていく方針にしている。当初は面白い人に会いたいという考えだったが、今は東工大から知識を身につけた人を輩出したいという想いがあるそうだ。


東工大生は素養はあるため議論の質は高いという。元々数学は理解している前提なので勉強会も進みやすい。面白い人はインターンに出てしまい大学に来ない一方で、研究をしている人は外に出ていかない。そこに乖離があるという。土屋さんはどちらも知っていてどちらにも振り切れていないと自覚している。土屋さん曰く、東工大生は人と繋がることがあまり得意ではなくコミュニティが弱いという。だからこそ、メンバーを増やして、コミュニティを大きくしたいし、それが楽しいと語ってくれた。


東工大だからこそできること

 

東工大の中でこそ実現するDaapsがあると考えており、現在ブレインストーミング中らしい。学生に価値があるようなDaapsを実装の練習として作っていきたいそう。


学内に授業や研究室はあるのか


暗号理論の研究室は昔からあるそう。ブロックチェーンは暗号理論を応用した概念で、そのベースとして学んでいる人は多いはずだという。ブロックチェーンが流行しているため、今後研究テーマとしてブロックチェーンが掲げられる可能性もあるのではと考えているという。ブロックチェーンの授業をしている講師もいるそうだ。


今後の国内外のブロックチェーン業界についてどう思うか


国内は立ち遅れているという。プロダクト目線で言うと、ブロックチェーンに根ざして面白い稼働をしているものは少ないそう。理由は諸説あるが、一次情報が英語のため英語圏のコミュニティへの参加に立ち遅れが生じたり、障壁を感じたりするエンジニアが一定数いるからではないかという。一方、語学の壁がなければ、素質があるエンジニアは日本にもいると感じているそうである。コミュニティという面では国内は下火で遅れている感は否めない。


一方、国外は若い人が勢い立って活動しているそうだ。ICOを成功させている人には若い人も多い。大学で学ばなくても独学でプログラミングをしてICOを成功させた人もいるという。土屋さんはアメリカ留学の際に資金調達直後のシリコンバレーの小さなスタートアップで働いていた経験があるが、若い人の選択肢が日本とは全く異なるそう。大学で研究したアイディアをベースにプロダクトを作って資金調達したり、ICOをしてみたり、起業してみたりする人が同世代で当たり前に存在するという。西海岸では、エンジニアが近い未来を変えていけるという気概を強く持っているらしい。Geekがかっこいいという文化も日本より強かったという。世の中を変えていくモチベーションが高く、選択肢も、金銭的支援も、コミュニティも存在する。また技術面を深く追求する勉強会が盛んで、日本でももっとそのようなコミュニティが存在していいと思ったそうだ。


何ブロックチェーン推しか


強いていうならイーサリアムとのこと。いい勉強の材料として考えているとか。


今後どんな団体にしたいか


ブロックチェーンの技術的知見が日本で最も蓄積されている団体にしたいとのこと。東工大の退学者や卒業生も参加しており、今後学生のみならず社会人も参加して欲しいという。実際、東工大を軸にしたブロックチェーンの技術コミュニティになってきているそう。学生だからこその視点やフットワークの軽さもあり、社会人でプロダクト開発などに関わる人が共有できることもあると土屋さんは言う。

現状はメンバーの知識や技術レベルがバラバラなため、全員に共通する勉強に限定しているが、将来的には人数を増やして小さなグループを作り、基礎勉強チームと先端技術チームとで分ける構想もあるそうだ。


代表略歴

 

 

 

 

 

 

土屋さん
岩手県生まれ、千葉県育ち。
幼い頃からハードウェアが好きで、小学生の頃は年2回秋葉原へ行き部品を買い簡単な電気回路を作っていたほど。エレキギターなど楽器をいじることも好きだ。高校生の時、洗濯されたiPod2つから、動くiPodを1つ作って小遣いを稼いだりしていたとか。元々頭に理工系しか選択肢は無かったが、入学してから勉強するものを選べるため東工大を選んだ。親が寂しがるから京都大学への出願を諦めたという親孝行な一面もある。

2018年SONY株式会社のR&D部門に入社。現職を選んだきっかけはシリコンバレーのハードウェアスタートアップで世界初の携帯電話の中距離無線充電器のpiを開発した際に、開発者から刺激を受けたこと。自分がいない場所でも自分の関わったものが世の中の役に立つということが非常に面白く、やりがいがあると感じた。コンシューマ向けで感情など人間的な部分にアプローチできるハードウェア作りたいと思いそれが実現できるのが現職の企業だった。


ブロックチェーン業界は世の中に何かを生み出したり変えていく速さやインパクトが強く、やりたいことと合致している。そのため、現職をこなしつつ、東⼯⼤ブロックチェーン研究会の運営もしている。また、現職の知識を活かしてできることも模索中だ。

 

初心者の筆者には追いつけない超ハイレベルの勉強会でしたが、ブロックチェーンの世界のみならず、様々な垣根を超えて、多くのものを巻き込んで世の中を変えてくれそうな予感がする団体でした。

当団体のブログはこちら▶https://goo.gl/5XxSCD

公式Facebookはこちら▶https://goo.gl/rKJ8ms

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