仮想通貨サテライト

PoWともPoSとも異なる【新しいコンセンサスアルゴリズム】とは?

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンの繋げ方に関する合意方法です。

かつてはビットコインが採用しているPoW(プルーフ・オブ・ワークス)が一般的でした。

しかし消費電力の多さや一部マイナーによるハッシュレートの調整など、さまざまな問題が明らかになってきました。

PoWに続いてPoS(プルーフ・オブ・ステイク)というコンセンサスアルゴリズムが登場しました。

PoSならば、PoWの問題であった消費電力や一部マイナーによるハッシュレート調整などが解消されます。

しかしPoSでも、流動性が乏しくなるという問題点を抱えています。

そこで最近の仮想通貨では、PoWともPoSとも異なるコンセンサスアルゴリズムが登場し始めました。

今回はそのような新しいコンセンサスアルゴリズムを紹介します。

 

新しいコンセンサスアルゴリズム

dPoW(delayed Proof of Work:遅延性PoW)

dPoWの基本的な考え方は、他の仮想通貨をマイニングするついでにマイニングしてもらうというものです。

匿名性で知られる仮想通貨コモドのコンセンサスアルゴリズムとして採用されています。

おまけのようにマイニングされますが、報酬は支払われ、20191月段階でのコモドのマイニング報酬は3KMDとなっています。

tangle

tangleはアイオータなどで採用されているコンセンサスアルゴリズムです。

アイオータの特徴は、送金などを行うと同時に直前のトランザクションをマイニングするという点にあり、このような仕組みから、tangleではマイニング報酬は発生しないようになっています。

dPoWが他の銘柄のついでにマイニングをしてもらうのに対し、tangleではトランザクションのついでにマイニングをするというわけです。

dPoS(delegated Proof of Work:委任性PoS)

dPoSの特徴は、選挙により各ブロックのマイナーが選出されるという点です。

投票数は所有している数量によって増えるため、数多く所有している人ほどマイナーに選出される確率が高まります。

なおマイニング報酬は、マイナーだけではなくマイナーに票を入れた投票者にも配分されるという仕組みになっています。

dPoSという名前からdPoWと混同されることもありますが、全く意味合いが違うので注意しましょう。

dPoSはビットシェアーズ・イオス・リスクなどの仮想通貨で採用されています。

しかしそれぞれの仮想通貨でdPoSの細かい仕様は異なっています。

dBFT(Delegated Byzantine Fault Tolerant:ビザンティン将軍問題耐障害性)

ビザンティン将軍問題とは、ネットワーク上の合意に関する問題のひとつで、複雑な問題なため、オスマン帝国が東ローマ帝国の首都であるコンスタンティノープルをどのように攻略するかという例で説明されています。

攻略に直接関わる将軍が9人いるとします。

コンスタンティノープルは防戦の構えを見せており、余力を残して陥落させることは出来ず、全軍で攻撃を仕掛ければ攻略できる見通しですが、オスマン帝国軍にも多大な損害が出ると予想されています。

このような状況に各将軍は、多数決で最終的な判断を下そうという結論に至ります。

しかし攻撃派4人撤退派4人と意見が分かれました。

この時に残り1人の将軍がどのようにすべきかという問題です。

ここで重要なのは攻撃・撤退の2択ではなく、どのようにして残り1人の将軍が、他の8将軍に意見を伝えるかという部分が問題になります。

攻撃でコンスタンティノープルを陥落させることも一時撤退して作戦を練り直すのも悪い手ではないのです。最悪の手は、中途半端な人数で攻撃を仕掛けたためにコンスタンティノープルを陥落させることが出来ず、無駄な犠牲を出してしまうことです。

例えば伝令兵が敵に見つかり捕縛されてしまう、始めから伝令兵が裏切るつもりだったなどが考えられます。このような可能性は無数に存在するため、ひとつひとつに的確な対策を施すことは実質的に不可能です。

ネットワーク上でも通信途中で何らかの問題が生じ、十分に連絡が取れない危険性があります。これがビザンティン将軍問題の概要です。

dBFTでは、dPoSのように選挙を行います。

しかし選挙で選ばれた人全員がマイニングを行えるとは限らず、選ばれた人の中からランダムで選出された1人が代表者としてマイニングを行うことになります。

他の選出者たちはマイニング内容が正しいかどうかの確認を行います。この確認で66%の承認が得られれば既存のブロックチェーンに繋げます。もし十分な承認数が得られなければ、別の代表者がランダムに選出されマイニングからやり直すことになります。

このように2段階でトランザクションの承認を行うことで、ビザンティン将軍問題に対応しているわけです。同時にdBFTでは、ブロックチェーンの分岐が発生しないという特徴があります。なおdBFTはネオに採用されているコンセンサスアルゴリズムです。

 

まとめ

今回紹介したコンセンサスアルゴリズムも万能というわけではなく、またPoWPoSが時代遅れと結論付けることも難しいでしょう。

PoWPoSのメリット・デメリットを考慮し、PoWPoSの両方のコンセンサスアルゴリズムを併用している仮想通貨も存在します。

今後も用途に合わせた新しいコンセンサスアルゴリズムが登場していくことでしょう。