2018年12月現在、数多くのステーブルコインが管理・運営されています。
その中でも特に有力視されているのは以下の5種類です、
- テザー
- トゥルーUSD
- ジェミニダラー
- パクソス
- USDコイン
いずれも米ドルに裏付け(ペッグ)されたステーブルコインですが、発行体は異なり裏付ける方法もさまざまです。
今回は有力5銘柄それぞれの特徴と違いについて解説します。
ステーブルコインについては以前の記事をご覧ください!
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テザー(tether)
トラッカー名はUSDT、テザー社によって管理・運営されており、2018年12月現在ではステーブルコインの中でも最も普及しており、仮想通貨を含めた時価総額ランキングでも10位以内に入っています。
テザーの特徴
テザーの特徴は既に多くの取引所で偏ることなく利用されていることです。仮想通貨の時価総額などを発表しているcoinmarketcapによると、コインビーン、ヒットBTC、OKEx、バイナンスなどがテザーの取引割合が多いです。
しかし、それら4つの取引所でのテザー取引割合を合計しても全体の30%に届かなく、他の取引所でも十分にテザーが取引されており、最近ではテザーを通貨ペアの軸としている取引所も多くなっています。
テザーは元々ビットコインのブロックチェーンで管理されていましたが、現在はライトコインのブロックチェーンとイーサリアムのブロックチェーンの2つによって並行管理されています。
米ドルでの裏付け
テザーと米ドルを関連付けている方法は等価交換です。
テザーと米ドルを1対1で交換可能にしていることでテザーの価格を一定に保っているわけです。
ただしこのシステムを維持するためには、テザー社が現在流通しているテザーの枚数以上の米ドルを保有しておく必要があります。しかし本当にテザー社が十分な数の米ドルを所持しているのかはっきりしていません。
特にテザー社は2018年5月に2億5,000万枚ものテザーを追加発行しました。2018年10月には5億枚のテザーをバーン(burn:保有している特定の仮想通貨を総発行枚数ごと減らすこと)していますが、2018年12月現在でもテザーの総発行枚数は約25億枚にも上ります。
等価交換のシステムを保つためには、テザー社は25億米ドル以上を保有しておかなければならず、テザー社が25億米ドル以上を本当に保有しているのか、この疑問には明確な解答が出されないまま今日に至っています。
またテザー社は仮想通貨取引所のビットフィネックスとの関係が噂されています。このような不透明な部分の多さから、ステーブルコインとして不適当ではないのかという見解も出ています。
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トゥルーUSD
トゥルーUSDは2018年3月に発行されたステーブルコインになります。
トラッカー名はTUSDで、テザーとはTの位置が異なるだけなので注意しましょう。
イーサリアムのトークン作成プラットフォームERC20によって作成された仮想通貨であり、発行上限は約1,200万枚(1,199万8,508枚)です。
米ドルでの裏付け
トゥルーUSDも米ドルによって裏付けされていますが、裏付け方法はテザーとは少し異なります。
トゥルーUSDの場合は、信頼できる第三者を挟んで契約した複数の金融機関に米ドルを預けています。
これらの金融機関で口座開設者が1TUSD出金すると口座から1米ドル減るという仕組みで、更に発行体であるトゥルートークン社の保有口座は第三者機関によって毎月監査されています。
2018年12月現在での時価総額ランキングは30位前後で、テザーほどとまでは行きませんが価格が一定で発行上限枚数も決まっているため、時価総額がどうしても上がりにくくなっています。
トゥルーUSDの問題点
トゥルーUSDの問題点は、テザーと比べると流通状況に偏りがあることです。
韓国の仮想通貨取引所であるCashierest(カシエレスト)が流通量の約45%、マルタの仮想通貨取引所バイナンスによる流通量が約30%と2社だけで約75%を占めています。
2018年12月段階では通貨ペアとして採用している取引所も少ないですが、これからの流通によって変化するでしょう。
ジェミニダラー(GUSD)
ジェミニダラー(GUSD)は2018年9月から発行されている仮想通貨です。
米ドルでの裏付け
米ドルによって裏付けされており、ビットコインによって億万長者となったウィンクルボス兄弟が創設した仮想通貨取引所ジェミニによって管理・運営されています。2018年12月段階での時価総額ランキングは50位前後です。
ジェミニダラーは米ドルと1:1の交換を可能にすることで価値の安定化を計っています。
ジェミニが保有している米ドルは第三者機関によって監査を受けており、監査結果はオンライン上で公開されています。
2018年12月現在までのの監査は、2018年9月9日、9月28日、10月31日、11月30日と4回行われています。
ジェミニダラーはERC20によって作成されました。ホワイトペーパーを見ると今後アップグレードする可能性も残していますが、アップグレードの危険性もホワイトペーパーに明記されており、積極的にアップグレードを行うわけではないようです。
ジェミニの問題点
ジェミニの問題点は、まだ大手の仮想通貨取引所で取引されていないことです。
なお金融庁に認可済みの仮想通貨取引所リキッドバイコインの運営元であるコイン株式会社が海外で運営している取引所では、既にジェミニダラーを取り扱っています。
パクソス(PAX)
正式名はパクソススタンダード、ERC20によって作成された仮想通貨であり、時価総額ランキングでは30位前後となっています。
ジェミニダラーと同じく2018年9月10日にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に認可され、2018年12月現在ではバイナンス、OKEx、デジフィネックス、ZB.COMなどが取り扱っています。
ただし取引割合はバイナンスが60%が超えており、偏った状況にあります。
パクソスが裏付けしている方法も1:1による交換です。
準備金は連邦預金保険公社(FDIC)認可の金融機関に複数の口座に分割して保有されており、更にWithumという監査会社によって調査することになっています。
USDコイン(USDC)
2018年12月段階での時価総額ランキングは30位前後になります。2018年9月に発行されたばかりの仮想通貨ですが、ポロニエックス、ラトークン、バイナンス、コインベースといった大手の仮想通貨取引所が既に取り扱っています。
ただしポロニエックスでの取引量が全体の40%を超えており、やや偏りが見えます。
USDコインはセンターと呼ばれる企業で米ドルを受け入れ、トークンへと変換するという方法をとっています。
センターはサークル社やコインベースによって創設された企業ですが、将来的には独立する予定となっています
またサークル社は仮想通貨取引所ポロニエックスを買収、またUSDコインの開発のために大手マイニング企業であるビットマインから1億1,000万ドル調達しています。
まとめ
2018年12月現在、ステーブルコインの中ではテザーが最も普及しており、大手の取引所だけではなく、数多くの取引所が取り扱っています。
しかしテザーの不透明性から、大手の取引所はステーブルコインの見直しを図っています。
既にフォビ、OKEx、ビットフィネックスなどがトゥルー・ジェミニ・パクソス・USDコインの上場を決定、バイナンスもこれらのステーブルコイン上場に前向きな姿勢を見せています。
更にフォビではトゥルー・ジェミニ・パクソス・USDコインで入金しても、出金時は入金時とは異なる銘柄に変更できるというシステムを発表しています。
これからステーブルコインの普及率が変わっていくかもしれません。
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