米国の信用組合監督庁(NCUA)は暗号資産をはじめとするデジタル資産とその技術が当庁と関連機関に与える影響について、関係者から情報を収集していることが明らかになりました。
特にこの信用組合が分散型台帳技術(DLT)と分散型金融(DeFi)をどのように活用しているかについての学びを深め、これらの技術に関係する金融システムや消費者を保護していく方法を検討することがこの情報収集の狙いだということです。
NCUAとは
NCUAとは英語のThe National Credit Union Administrationの頭文字を並べたものとなっています。このNCUAでは米国の預金取扱機関の預金者に預金保険を提供する任務を行っています。米議会によって設立された独立連邦機関の1つで、国内にある信用組合に対する規制・監督を行うことでその安全性と健全性を維持している重要機関です。
情報収集の中に設けられた質問項目とは
NCUAから信用組合関係者への質問は多岐にわたり、以下のようなものが挙げられています。
現在、どの程度DLTやDeFiアプリケーションを使用あるいは使用を検討しているか。(該当する場合は具体的な商品やサービスの概要)
内部業務の円滑化などにDLTをどの程度使用しているか、または使用を検討しているか。
DeFiアプリケーションサービスに対する最大の市場需要はどこにあると考えられるか。
DLTおよびDeFiアプリケーションについて、測定・監視・管理が困難な固有のリスクは何か。そのリスクに対処するために、どのような管理プロセスを実施できるか。
DLTやDeFiアプリケーションに適用される可能性のある法律および規制(証券、銀行機密法、アンチマネーロンダリング、消費者保護など)への遵守を行う上でどのような方法があるか。
NCUAが既存の監督指針を明確化あるいは拡大すべき分野はあるか。
DLTとDeFiについては導入事例・市場の需要・リスクなどの様々な質問が設けられており、NCUAが規制面でどのように対応していくべきかについて問いかけるものとなっています。
他機関でも同様の呼びかけが
米連邦預金保険公社(FDIC)は米国で預金保険を提供するもう1つの機関です。この期間でも今年5月に同様の通知を出しており、デジタル資産についての情報提供を金融機関に呼びかけていたことが公になりました。
FDICから受け取った通知ではデジタル資産取扱い事例やリスク管理方法についての質問が主に設けられていた。さらに米国では様々な金融規制当局が暗号資産と本格的に取り組む姿勢を見せ始めているということです。