中国の警察当局は、違法な経済活動の取り締まり強化の一環として、暗号通貨のOTCトレーダーを拘束しその顧客の銀行口座を凍結したとの事実が報じられました。
OTCトレーダーで暗号資産レンディングプラットフォームである、レンレンビットの共同創業者ジャオ・ドン氏が杭州市の捜査当局に拘留されたという噂が、ソーシャルネットワーク上に広がっています。
7月2日、噂は同氏の勾留について記述した画面キャプチャが現地コミュニティで広まった後、ウィーチャットで話題となり、現地のニュースメディアがこれについて伝えました。
これを受けレンレンビットは、北京のOTC取引チームが6月下旬に捜査当局に連行されたと、ソーシャルメディアのウェイボーに声明を出しました。しかし、OTCトレーダーの誰かが逮捕されたわけではないようです。
レンレンビットによると、ジャオ氏はOTCチームに投資していたものの、日々の取引業務には関わっておらず、同氏は6月上旬に日本から帰国し、現在は現地警察の詐欺・マネーロンダリングの捜査に「積極的に」協力しているということが明らかになっています。
OTCチームを複数連行
2017年、中国政府は暗号資産取引所での暗号通貨と人民元の取引を禁止しています。その結果、多くのトレーダーはOTCプラットフォームに移行し、OTCプラットフォームは基本的には買い手と売り手をつなぐことでピアツーピア取引を可能にしました。
中国の個人ユーザーはOTCデスクを使って、人民元で米ドルに連動するステーブルコインであるテザーやビットコインを売買し、暗号資産取引を行なっています。
事情に詳しい関係者によると、ジャオ氏は現在警察に拘束されているものの、単独の事件ではないという事実も明らかになっています。中国各省の警察は6月中旬以降、暗号通貨OTCデスクに対する監視を強めており、マネーロンダリングに対する捜査を進めるため、複数のOTCチームを連行したということです。
取り締まりがさらに厳重に
当局の捜査はOTCでの暗号資産取引が必ずしも違法であることを示しているわけではないが、組織的な捜査の対象となったことで中国のOTCデスク業務に影響を与える可能性は十分にあると考えられています。
6月上旬、当局はOTC取引を通じたマネーロンダリングに絡んだネット詐欺や出資金詐欺を助長したとして、複数のOTCデスクの業務を停止し、顧客の銀行口座を凍結しました。
暗号通貨、特にドル連動型ステーブルコインのテザーは、中国では出資金詐欺や詐欺組織によるマネーロンダリングに利用されていると言われています。当局は今後捜査を進める上で、さらにOTCデスクの停止と顧客の口座を凍結する可能性があるとしています。
