10月29日、暗号資産市場でビットコイン相場は大幅に反落する結果となりました。bitFlyerにおける日本円建BTC取引は、28日に記録した年初来高値144.58万円を高値に、一時8万円幅続落した後、前日比5%安の136.9万円で取引されました。
2019年9月に記録したバブル崩壊後の高値米ドル建13,860ドルが利益確定ポイントとしてみられただけでなく、米国株式市場や原油の急落もBTC市場の下落を後押しした形となっています。
さらに金融市場では欧米での新型コロナウイルス感染再拡大と、それに伴う経済活動停滞を巡る懸念なども重なり、間近に迫る米大統領選への警戒感が圧迫していることは間違いありません。これにより米国株式市場は急落し、主要3指数は軒並み3%超安を叩き出しました。原油先物相場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近の12月物も前日比2.18ドル(5.5%)安の1バレル37.39ドルで取引を終えています。
ビットコインの年初来高値更新について
バブル崩壊後の高値と同水準に達したことで、利食い先行相場となったBTC市場は株式市場の状況や前日比の安値を下回らずに底堅く推移していることも鑑みると、依然として過去最高値更新も意識させる市場の強さが感じられています。
コロナショックが影響していることもあり、一時は米ドル建3,000ドル台で取引されたBTC市場も現在は13,000ドル台に乗るなど約半年で回復の兆しを見せていました。
暗号資産市場におけるトレンドを大きく区分すると、5月の半減期は供給量の減少が中長期で需要を価格に反映させる材料にもなるとの声が上がっています。
有識者の考えとは?
米ブルームバーグはビットコインの価格上昇について報じるとともに、現在価格を押し上げている要因は暗号資産バブル期の2018年当時は異なると指摘しています。
2018年当時は個人投資家による投機的な熱狂が要因であったものの、現在は企業による関心の高まりが背景にあるとしてマーケット拡大に注目した見方を紹介しています。
具体的な要因の例として挙がったものの中には決済大手PayPalが暗号資産サービスを開始することや、米最大手銀JPモルガン・チェース開発のデジタル通貨である「JPMコイン」がクロスボーダー決済に利用されることなどが取り上げられています。
また、トレーディングプラットフォーム「eToro」のマネージング・ディレクターはPayPalのサービスについて以下のように述べています。
「これはBTCや他のデジタル資産が、人生や資産、自由に対し、どのような価値を持っているかを多くの人々に知らせる良い機会になる…他の有名な決済アプリが暗号資産業界に参入するのを楽しみしている。」
次に分析企業Coinmetricsの創設者Nic Carter氏は今回のBTC価格の上昇について「個人投資家よりは、企業のBTC購入の方が大きな要因だ。」と独自の見解を示しました。
投資企業Bannockburn Global Forexの市場戦略責任者は「PayPalの暗号資産サービス開始は今後ユースケースが増えるかの試金石になる。」としており、ユーザーがPayPalを介してどのくらい暗号資産を売買するのかや、決済に利用するかが1つのポイントになると指摘しています。
その一方で、BTCの注目ポイントは日常での利用ではないとする意見もあることは否めません。
米暗号資産投資企業Galaxy Digital社のマイケル・ノボグラッツCEOは、「デジタルゴールド」としての役割こそが、今後のBTC市場の将来性を反映しているとコメントしました。