10月17日、NFT市場分析会社NonFungible.comは2022年第3四半期の市場レポートを発表しました。今回のレポートでNFTにおける取引高や再販時の総利益などの取引指標が前期比で大きく落ち込んだことが明らかになっています。
まず第3四半期の世界のNFT取引高は約2,377億円で第2四半期から77%減少する形となりました。この販売量としては5%減に止まったものの、転売益はQ2の2,971億円から484億円に減少し、6分の1にまで落ち込んでいます。
一方、転売・再販時の損失額は2,080億円から1,159億円へと約44%減少しています。しかし、最終的に損失の総額は668億円を超えており、四半期ベースで初めてNFTの取引が損失を計上する結果になりました。
NFTの平均取引額は前期比76%減の2万2,877円を記録しています。
しかし取引の面では大きく後退した市場だが、アクティブなウォレット数から見たコミュニティの規模は117万3,650で17%の減少に留まっていました。また取引量は四半期で1,000万件を上回っていることから、レポートは活発なコミュニティ活動が継続していると判断しています。
ユーティリティ部門に注目集まる
レポートはNFT市場については以下の5つに分類して分析を行いました。
- コレクティブル
- アート
- ゲーム
- メタバース
- ユーティリティ
NFTの供給と流動性の面ではユーティリティ部門で新規発行が44%増加し、流動性は5%高まったことにレポートは注目しています。
NFT業界は投機性の高い資産よりも、地域社会に貢献し影響を与えるような資産に向かっていると分析しており、今後や収益への期待ではなく、適切なユースケースでコミュニティを納得させることが重要だと主張している形です。
NFT市場の動向
レポートは「コレクティブルNFTが巻き起こしたブームは多くの利益をもたらした一方で、主流市場に対してNFTに対するネガティブなイメージが植え付けられた。」と指摘しました。コレクティブル相場の急落はNFTに対する否定的な意見を定着させたようだとコメントも発表しています。
一方、NFT業界全体としては「利益と投機が支配したNFTの時代」は終わりを告げ、新たなページが開かれつつあると見ています。Q3の傾向から読み解くとトークンの有用性が金融投資という概念より優先されているように思われるといいます。
一方で弱気市場にも関わらず、NFT業界への参入は続いており、特に様々な分野の老舗ブランドがNFTの取り組みを開始しているとの指摘もあります。Q3に参入した主要企業はティファニー、スターバックス、マイクロソフト、MTV、チケットマスターとなっていました。
また中国の上海市の参入も確認されています。このような状況を見てみると、投資家がNFT業界の将来性を信じていることを示唆しているとレポートは主張しました。
最後に今後のNFT市場の拡大に向け、「弱いながらも確実な基盤が構築されつつある」とレポートは締めくくっています。