ブロックチェーン

ブロックチェーンスマートフォンとは

ブロックチェーンスマートフォンとは、ブロックチェーンを搭載しているスマートフォンです。201912月現在で出回っているブロックチェーンスマートフォンは、大きく5種類です。今回はそれぞれのブロックチェーンスマートフォンの特徴や方向性を解説します。

シリンラボ(SIRIN LABS)製フィニー(FINNEY)

シリンラボはスイスやロンドンにオフィスを構えるスタートアップ企業です。独自仮想通貨SRNトークンを発行しています。SRNトークンはビットレックスやフォビグローバルにも上場している仮想通貨です。ただし日本国内の取引所には、201912月現在では上場していません。

スペインのサッカーチームFCバルセロナのリオネル・メッシ氏やボクシングの世界王者ゲンナジー・ゴロフキン氏などをアンバサダーとして抜擢しています。

フィニーは、世界初のブロックチェーンスマートフォンとして売り出されました。「セーフ画面が開いている時のみ電源が入る」「暗号化で通話・メッセージ・メールを保護」「独自のSIRIN OS搭載」などの機能を備えています。価格は高めで999ドル、公式サイトなどで販売されています。

サムスン製クレイトンフォン(KlaytnPhone)※韓国内のみ

サムスンの主力商品ギャラクシーシリーズのギャラクシーノート10新モデルが、クレイトンフォンです。

韓国内で使われているメッセージアプリのカカオでは、クレイ(Klaytn)というブロックチェーンを使用しています。ここからクレイトンフォンという名称になりました。価格は1248,500ウォン(11万円)となっています。

またカカオではクレイ(Klaytn/KLAY)という独自通貨を発行しています。クレイトンフォン購入者には、一定量のクレイが配布されます。ブロックチェーンスマートフォンであることに加え、以前からサムスンはスマートフォンを開発していたという安心感が大きな付加価値になるでしょう。

HTC製エクソダス(Exodus)1

台湾の電子機器メーカーHTCは、エクソダス1というブロックチェーンスマートフォンの開発を行っています。HTCも握るだけで操作できることを売りとしたUシリーズというスマートフォンを元々販売しています。OSはアンドロイド、20193月から699ドルで販売しています。またディスプレイサイズなどを変更することで販売価格を抑えた廉価版であるエクソダス1sの開発も既に発表しています。

エクソダス1の特徴は、積極的に他企業の技術を採用しているところです。ブラウザではノルウェーに本社のあるオペラソフトウェアの開発・運営している「オペラ」を採用しました。更に仮想通貨のファンダ情報などを連絡してくれるアプリ「ブロックフォリオ」なども利用可能です。

加えてHTCは、世界的大手の仮想通貨取引所バイナンスが使用しているバイナンスチェーンというブロックチェーンを搭載した限定版の販売も予定しています。この限定版では分散型取引所のバイナンスDEXをサポートする予定です。

フォビ・グローバル(Huobi Global)製アキュート・アングル(Acute Angle)

アキュート・アングルは、911日開始のフォビグローバルのホールネットワーク(Whole Network)の一環として開発されたブロックチェーンスマートフォンです。フォビの独自通貨HTで購入可能です。

プンディX(Pundi X)BOB

シンガポールを拠点としたスタートアップ企業プンディXは、BOB(Blok on Blok:ブロック・オン・ブロック)を開発しています。

BOBの特徴は、ファンクションXというブロックチェーンです。従来のスマートフォンでは、電話をかける時にもインターネットの閲覧をする時にでも集中型のサービスプロバイダを介していました。ファンクションXではこういったサービスをサポートするので、集中型のサービスプロバイダが必要ありません。

またファンクションXOSは、アンドロイドの下位互換性があります。これによりアンドロイドアプリにアクセスする時にはアンドロイドモードに切り替わるという仕組みです。

各ブロックチェーンスマートフォンの方向性

まだ5種類しか出ていないブロックチェーンスマートフォンですが、それぞれに方向性が異なります。フィニーはセキュリティ、クレイトンフォンは韓国内、エクソダスは他企業の技術採用、アキュート・アングルはフォビ・グローバルのエコシステム強化、BOBはデータの分散化です。

鍵を握るのはターゲット

フィニーが登場した時のブロックチェーンスマートフォンは、仮想通貨を保有することが前提となっていました。アキュート・アングルについても同じことが言えるでしょう。しかしクレイトンフォンやBOBの特徴をみるとこれらのスマートフォンは、必ずしも仮想通貨保有者をターゲットにしているとはいえません。

仮想通貨保有者のみをターゲットにするのか、あるいは仮想通貨保有者以外にもアピールしていくのか。ここは重要なポイントになるでしょう。

またアップルもブロックチェーン研究に着手したという報道があります。今後アップルもブロックチェーンスマートフォンを開発するのかどうかも市場に大きな影響を与えると思われます。