ロシア初の暗号通貨法案である「デジタル金融資産関連法(DFA)」が審議を終了し、承認されたことがわかりました。
支払いへの暗号通貨使用は未だに禁止されているものの、デジタル資産の法的定義を提供する同法案により、ロシアで暗号通貨取引が「合法」となります。
同時に暗号通貨は「決済手段として受け入れることができる電子データの集合体」として認識され法的地位が付与されることが決定しました。しかし国際的な通貨単位でもなく、外国やロシアの法定通貨でもないため、決済に使用することはできないということです。
現地メディア
TASSによると暗号通貨は「発行・購入・販売・登録は特別な情報システムの枠組み内ですることができる。また、特別なシステムとその運営者を規制する上では
ロシア中央銀行が主要な役割を果たすことになる。」との見解を示しました。
ロシア中銀は国内でのデジタル通貨発行を含む活動を監督する権限を正式に与えられることになり、暗号通貨の発行や取引に追加の要件を課すことができる立場となることがすでに明らかになっています。
購入できる暗号通貨の種類を定める枠組みの設定も投資家が有する資格により担当するということです。
別途審議で具体的な規制法案
しかしながら、業界の規制は別の法案で設定されることになり、暗号通貨における実際の規制フレームワークは法案「デジタル通貨関連法(DA)」へ記載することが確認されています。したがって下院は12月下旬に終了する秋のセッション中に同法案を可決することを予定していると発表しました。
具体的な規制を定めるDA審議はまだ完全体ではないことから、慎重な態度を崩していない業界関係者もいます。
暗号通貨取引所
EXMOのMaria Stankevich氏は「今回承認されたDFA法案は暗号通貨に関する『用語集』と見なされるべきであるが、DA法案はロシアのさまざまな当局によって議論されている最中であるため、最終的に予想外の内容が盛り込まれる可能性も高い。」と意見しました。
また、5月時点で今回のDFA法にはビットコインなど暗号通貨購入者に高額の罰金または最大7年の刑期を渡される可能性が高かったものの、そうした暗号通貨の発行・利用に対する刑罰の条項は取り除かれた形となりました。
暗号通貨所持や合法的な手段によるその取得・移転に関して、公式的に申し立てを行なっている場合は許可されることがすでに明らかになっています。
一方、暗号通貨規制方針については未だにロシア政府内でも意見が分かれています。以前ロシア経済開発省は「過度な規制は暗号通貨関連事業が海外へ逃避することにつながり、結果的にロシア経済にとって大きな損失になりかねない。」と主張していました。
今後の決定方針についてはDA法の行方にもかかっているものの、今回のDFA法の承認により同省が懸念していたような暗号通貨発行・流通禁止という事態は避けられそうだということです。
同省は「暗号通貨の制御された流通メカニズムの創設」を規定する法案作成を提案しており、今後DA法案が議論される際、そうした意見も参照される可能性が期待されています。
なお、今回採択されたDFA法案は2021年1月1日より施行される予定です。