株やFXで得た利益も税金の対象となるように、ビットコインなどの仮想通貨で得た利益も税金の対象となります。
そこで、今回はビットコインがどのような税金の対象になるのかを解説します。
(*今回の記事は2018年11月27日現在での話になりますので、今後の改定の可能性などについてはご注意してください。)
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ビットコインで得た利益の捉え方
ビットコインで得た利益とは、ビットコインの取引で得た利益だけではありません。
2018年11月27日現在、利益と捉えられているものをまとめます。
①ビットコインの売却額-ビットコインの購入額
最も分かりやすい利益です。
もし購入額の方が大きい場合は損失となり、仮想通貨の利益から減らして計算できます。
②ビットコインを商品決済に使った時の差額
実際に日本円で利益を得ていない場合でも、利益と見なされることがあります。
そのひとつが商品決済です。
例えば1BTC=70万円の時に1BTCを購入し、1BTC=75万円になったところで75万円分の商品を1BTCで決済したとします。
この時の差額5万円は利益と見なされます。
所得税の対象となるので、決済の時に発行されたレシートなどは保管しておくことをお勧めします。
③ビットコインでイーサリアムなど他の仮想通貨との取引を行った時の差額
商品決済だけではなく、仮想通貨同士の取引にビットコインを使った場合も利益と見なされることがあります。
例えば1BTC=70万円の時に1BTCを購入し、1BTC=75万円になったところで1ETH=2万円の相場で35ETHと取引したとします。
このような場合でも差額の5万円は利益と見なされます。
ビットコインによる税金の対象となるもの
所得税
2018年11月27日現在ビットコインを始めとする仮想通貨で得た利益は、雑所得という分類になっています。
そのため累進課税が適用されることになります。
累進課税の注意点は、サラリーマンの給料や自営業による収入があると、ビットコインで得た利益に上乗せして計算されるということです。
具体的には以下のような分類になります。
ビットコインで得た利益を含めた所得額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円を超える | 45% | 479万6,000円 |
例えばサラリーマンとしての所得が300万円かつビットコインの売却益が50万円だった場合、税率は20%で控除額は42万7,500円となります。
具体的な所得税の計算式は以下のようになります。
(300万円+50万円)×20%-42万7,500円=27万2,500円
なお税率だけを見ると、税率が変わる近辺の金額だと多少抑えた方が特に見えるかもしれません。
しかし、控除額を考えると抑える必要がないことが分かります。
例えば税率5%の所得額190万円と税率10%になる所得額200万円の所得税を計算すると以下のようになります。
190万円×5%=9万7,500円
200万円×10%-9万7,500円=10万7,500円
1万円差がありますが、これは10万円の所得額の差から生まれているものです。
控除額が設定されているため、無理に所得額を抑える必要はないという仕組みになっています。
住民税
2018年11月27日現在、都道府県民税と市区町村民税をまとめて住民税という扱いになっています。住民税の税率は所得額に関係なく一定で10%となっています。
仮想通貨の税金には所得税が適用されるとお伝えしてきました。
所得税が課税された場合、通常住民税も同時にかかってきます。
そのため仮想通貨で得た利益は所得税と住民税を合わせて計算します。
所得税は累進課税ですが、住民税には利益の10%が課税対象となります。
ビットコインによる税金の対象にならないもの
2018年11月現在、ビットコインが対象になりそうで対象にならない税金も存在します。
何故対象にならないのかも合わせて紹介しておきます。
消費税
かつてはビットコインの購入には消費税が加算されていました。
しかし2017年7月1日から資金決済法が改正され、ビットコインは所得税の対象にはならないように設定されています。
同様に消費税の対象とならないものとしては、図書カードや各種食事券などがあります。
なお2017年7月1日以前にビットコインを購入していた場合は、消費税分が還付される場合もあります。
都道府県民税と市区町村民税
2018年11月現在、都道府県民税と市区町村民税はまとめて住民税となっています。
そのため個別に都道府県民税や市区町村民税を支払う必要はありません。
まとめ
仮想通貨の所得にはやや面倒な計算が必要となります。
そこで国税庁は11月21日に「仮想通貨関係FAQ」の公表についてという項目を発表しました。
この発表の中では、仮想通貨取引所が年間取引報告書を納税対象者に対して交付することや仮想通貨の計算書の配布などがまとめられています。
既に仮想通貨の計算書は「仮想通貨関係FAQ」の公表についての中で既に配布されており、エクセルなどで展開することが可能です。
また仮想通貨に関する法律は今後追加、あるいは改定される可能性もあります。
国税庁の情報には今後も注目しておきましょう。