COLUMN(コラム)

半減期とマイニングの関係

2020年の夏頃にビットコインが半減期を迎える予定です。半減期はマイニングと深い関係があり、更には相場自体にも影響を与えます。今回は半減期とマイニングの関係について解説します。

半減期とは

半減期とはマイニングの報酬が半分となるタイミングのことです。ビットコインの場合、21万ブロックがマイニングされる毎にマイニング報酬が半分となります。

なおビットコインの稼働当初のマイニング報酬は50BTCでした。しかし1度目の半減期を迎えた時には、50BTCの半分である25BTCとなりました。2度目の半減期では、更に半分の12.5BTCとなっています。2020年2月段階のビットコインのマイニング報酬は12.5BTCです。

2020年夏頃には、3度目となる半減期が予定されています。この半減期を過ぎるとマイニング報酬は、12.5BTCの更に半分である6.25BTCとなる予定です。

半減期が存在する理由

半減期が存在している理由はインフレ防止です。暗号資産に限らず市場に流通する多くの物品は、数が多すぎると価格が低くなる傾向にあります。需要を超える供給が生まれるためです。

市場全体で見るとマイニング報酬は、暗号資産の供給です。稼働当初の暗号資産は、多くの投資家に保有してもらうためにある程度の数量が必要になります。そのためある程度の供給は必要です。

これに対し供給限界に近付いた暗号資産では、需要と供給のバランスが壊れる危険性が高いです。そのため暗号資産の供給量に合わせてマイニング報酬が減る半減期が設定されています。

半減期が設定されていない暗号資産

すべての暗号資産に半減期が設定されているわけではありません。設定されているのは、ビットコインやライトコインといった一部の暗号資産だけです。半減期が設定されていない暗号資産には、それぞれの理由が設定されています。

半減期が設定されていない理由

①最大発行枚数が設定されていない

2020年2月現在イーサリアムなどの暗号資産は、元々最大発行枚数が設定されていません。そのため半減期という考え自体が成立しないわけです。

しかし最大発行枚数が設定されていないことによりイーサリアムは、供給過剰になっているのではないかという議論も行われています。将来的に最大発行枚数を設定するかもしれません。

なおイーサリアムから分裂して誕生したイーサリアムクラシックは、2億1,000万枚と最大発行枚数が設定されています。

②始めから最大発行枚数まで発行されている

暗号資産によっては、最初から最大発行枚数まで発行していることもあります。こちらも新規に発行することが出来ないため、半減期は設定されていません。

ただし最初から最大発行枚数まで発行されている暗号資産であっても、始めから市場に全ての数量を供給しているわけではありません。運営会社が資金として保有していたり、契約している金融機関に預けたりして市場での供給量を調整しています。

なおリップルやゴーレムなどが、始めから最大発行枚数まで発行されている暗号資産です。

PoSにも半減期がある

ビットコインやライトコインは、どちらもPoW(Proof of Works:プルーフ・オブ・ワークス)をコンセンサスアルゴリズムとして採用しています。しかしPoWだけに半減期が設定されているわけではありません。PoS(Proof of Stake:プルーフ・オブ・ステーク)を採用している暗号資産であっても、半減期を設定しているものがあります。

また半減期ではなくとも、インフレ防止のために最大発行枚数を徐々に減らしているよう設定しているものもあります。

半減期で価格が上昇するとは限らない

インフレ防止のために設定されている半減期ですが、かならずしも価格が上昇するというわけではありません。暗号資産の価格は需要と供給によって決まります。既に十分な供給があると暗号資産ユーザーが判断した時には、価格が伸びないことになります。

半減期の影響を直接受けるのはマイナー

半減期はマイニングの報酬が半分になるため、直接的な影響を受けるのはマイナーです。もし価格が上がらなければ、マイニングを辞めるマイナーも出てくるでしょう。これによりトランザクションの確認などが遅くなるなどの悪影響を暗号資産ユーザーが受ける可能性はあります。

ただしこのような将来的な悪影響まで暗号資産ユーザーが考えているとは限りません。暗号資産に魅力を感じ無くなれば離れると割り切っている人もいるでしょう。このため半減期は、暗号資産全体の将来を占う存在となっています。

まとめ

2020年2月段階のビットコインは、ハッシュレートが上昇しています。ビットコインの最高値を更新した2017年末から2018年始あたりのハッシュレートは1,000京(けい:1京は1兆の1万倍)でした。

2018年に大幅に下落したビットコインですが、ハッシュレートはその後も上昇しました。2020年2月は、1,000京の10倍である1(がい)にまで伸びています。それだけマイナーの数が増えた、あるいはマイニングマシンの性能が伸びたということです。

この大きく伸びたハッシュレートが半減期でどのような影響を受けるのか、これも注目するべき項目でしょう。