8月24日、暗号資産分析企業Elliptic社はNFTを利用した犯罪に関するレポートを公表しました。
2021年7月から2022年7月にかけて同社は130億円以上のNFTが盗難されたと報告した他、価格データは遡及的に計算されたために実際の被害総額は予想を上回る可能性も残っているということです。
また、2022年5月に盗難された事例が確認されたものでは2,400万ドル相当のNFTが存在していました。2022年7月に最も多くの詐欺事例が多発しており、弱気相場でもNFTの盗難は減少しなかったとEllipticは独自の見解をレポート内で述べています。
加えて最近ではSNSを介したNFTの不正流出事例も多発していることについても触れました。特にNFTプロジェクトの公式ディスコードが不正アクセスされるケースが目立つということです。NFTの不正流出事例の23%がこの要因で盗難されていました。
NFT利用の資金洗浄
なお2017年以降、最低でも相当の違法資金がNFTを利用して資金洗浄され、総取引量の0.02%規模となっていたことが確認されました。
一方でミキシングなどの難読化サービス利用は総額450億円にもなり、これは総取引量の0.81%に相当する規模となっていました。
加えて米政府から制裁対象に指名されたトルネードキャッシュではNFTマーケットプレイスから190億円相当の暗号資産が資金洗浄されています。NFT詐欺事例における52%の資金洗浄がトルネードキャッシュを通過している点からも、NFTプラットフォームにおける効果的なスクリーニングが喫緊の課題だとElliptic社は結論付けました。
Ellipticの概要
Ellipticは英ロンドンを筆頭にニューヨークやシンガポール、そして東京に拠点を置くブロックチェーン分析企業です。
2022年5月にはシリーズCの資金調達ラウンドでJPモルガンやソフトバンクのビジョンファンド2、SBIグループなどから80億円を調達しました。