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a16z Crypto:NFT向けのライセンス標準をオープンソースでリリース

8月31日、アメリカの著名VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の暗号資産投資部門「a16z Crypto」はNFT向けのライセンス標準をオープンソースでリリースしたことが明らかになりました。

「Can’t be Evil(悪になれない)」と名付けられたこのライセンス標準は知的財産権(IP)をNFT購入者に適切に譲渡するフレームワークを提供することにより、NFTにおける所有権に関する曖昧さを是正しつつ、業界発展をサポートするという目的を持っています。

a16z CryptoのMiles Jennings法務担当役員は「今日のNFTエコシステムはNFT保有者の権利関係が曖昧で、法的リスクが高いために派生ビジネスが生まれにくいなどの弊害が生じている。」とコメントしました。

なおCBE(Can’t Be Evil)ライセンスは以下の3点を考慮した内容で構成されます。

  1. クリエイターのIP保護
  2. NFT所有者への付与
  3. 基本権利の明示コミュニティ経済のポテンシャル解放

クリエイター・バイヤー・セラー・サードパーティの権利をオンチェーンで文書化することで、NFTに「悪になれない」原則をもたらすという構成を守っているのです。

また6つのCBEライセンスは「商業的権利・限定的商業権・個人使用のみ」といったユーザーに付与するIPの範囲に分けられています。これらは分散型ストレージネットワークArweaveに保存されることになり、スマートコントラクトが組まれるということです。

保護または許可したいIPに適したライセンスを選択して、クリエイターは自由にNFTに付加することができる、NFT購入者はこれらのライセンスをオンチェーンで確認して、自分のNFTで可能な範囲かを把握することができます。

著作権法とNFT

アメリカの著作権法ではIPが著作権者に紐づくため、NFT作成者からのライセンスまたは著作権の譲渡がない場合は購入者は著作権に基づく権利を行使することは不可能となっています。

8月には大手暗号資産投資企業Galaxy Digitalが、一部の人気NFTプロジェクトがユーザーに付与している「商業的権利を認めるライセンス」はその内容が一方的に書き換えられるリスクが新規プレイヤーの参入を妨げていると批判したことが話題を集めました。NFT保有者の権利を規定する別段の「法的契約書」に替わる、標準の必要性を強調した形です。

例えば、Web3スタートアップProof Collectiveは時価総額8位のNFTプロジェクト「Moonbirds」を「IPはユーザーのもの」と規定していたことが例として挙げられるでしょう。当初、このようにユーザーに向けて発表していたにも関わらず、ライセンスをクリエイティブ・コモンズ(CC0)に変更して問題視されたのです。

CC0は著作権者が権利を放棄して使用に関する制限が一切ない反面、購入者の権利も保護されないため盗作や無断使用の恐れがあるとして多くの指摘を受けることになりました。

公式サイトによると、a16z cryptoは3つのファンドで4,200億円以上を運用し、暗号資産企業やプロトコルに投資しています。新興のレイヤー1ブロックチェーン、DeFi、NFT、ゲーム、DAO、ソーシャルトークン、分散型ソーシャルネットワーク、Web3.0アプリ、そしてまだ名もない分野まであらゆるジャンルを網羅するやり手企業です。

また、4月にはa16zがWeb3と暗号資産専門のリサーチラボ「a16z Crypto Research」を立ち上げています。