ビギナー(初心者)

証拠金取引とは

暗号資産の取引にはいくつか種類があります。実際に暗号資産を購入、あるいは売却して取引を行う現物取引(スポット取引)、実際には暗号資産を購入せずに購入したと仮定した上で取引を行う証拠金取引、現在の相場で将来的な取引を約束する先物取引などです。

今回は日本国内で最も取引されているといわれている証拠金取引について解説します。

証拠金取引とは

証拠金取引では、実際に暗号資産の購入や売却を行いません。代わりに購入できるだけの資金があることを取引所に預けておく必要があります。この時の資金の種類は取引所によって異なります。

日本国内の取引所であれば、日本円が証拠金となっています。しかし海外の取引所ではビットコインや米ドルテザーを証拠金としていることも多いです。

なお証拠金取引は、取引所によって異なる名称で呼ばれていることが多いです。ビットフライヤーではライトニングFXと呼ばれていますが、リキッドバイコインではレバレッジ取引という名称です。

また証拠金取引ではレバレッジと呼ばれる特殊な仕組みを使うことが多いです。レバレッジ取引は現物取引では使うことが出来ません。証拠金取引や先物取引用の仕組みです。

レバレッジとは

レバレッジとは、少ない証拠金で大きな金額の取引を可能とする仕組みです。例えばレバレッジが2倍であれば、100万円の証拠金で200万円相当の取引が可能になります。暗号資産だけではなく、外国為替取引でもレバレッジを使うことがあります。

レバレッジのデメリット

レバレッジは少ない証拠金で大きな金額の取引を行います。これにより利益も大きくなりますが、損失も大きくなります。これがレバレッジのデメリットです。

レバレッジ取引では、一定以上の証拠金の確保が条件です。この証拠金は含み損も含めて計算されます。そこで十分な証拠金を確保するために各取引所は、追加証拠金(追証:おいしょう)やロスカットなどを設定しています。

証拠金確保法

①追加証拠金

追加証拠金とは、含み損により必要証拠金の割合が減った時に資金を追加することです。証拠金保有率が一定以下になると取引所によっては、メールなどでユーザーに追加証拠金を促すところも存在します。

②ロスカット

ロスカットとは、必要証拠金の保有率が一定以下になると自動的に決済させるという仕組みです。必要証拠金は証拠金取引を行うために必要な資金ですので、決済することにより証拠金取引自体を解除してしまうわけです。

なお必ずしもロスカットが正確に発生してくれるとは限りません。例えば証拠金保有率100%以下でロスカットが発生するという仕組みであっても、急激な下落が発生した時には100%で発生しないこともあります。

80%70%といったもっと証拠金保有率が下がった時にロスカットが発動し、多額の損失をユーザーに求めた事例も存在します。

日本国内のレバレッジは2倍の見込み

かつて日本国内の暗号資産取引所でも、レバレッジの倍率に関する規則はありませんでした。ビットコインが大幅に値上がりしていった2017年頃までは、レバレッジ25倍という取引所も存在しています。この25倍というのは、日本国内で運営している外国為替取引所が設定しているレバレッジの上限です。

しかし暗号資産は、外国為替と比較して価格の変動幅(ボラティリティ)が大きいです。このため同じ25倍であっても暗号資産の方が、レバレッジも含めた変動幅が大きくなります。

このような事情もあり暗号資産取引所は、レバレッジの倍率を最大4倍に自主的に規制しました。更に2020年春には金融庁が、レバレッジを最大2倍にすると報道が行われています。

なお金融庁は、パブリックコメントを求めるなどでレバレッジについての意見を暗号資産ユーザーに広くを求めました。これによっては金融庁が考えを改めることも考えられます。

サーキットブレーカー

金融商品の取引では、予期せぬ下落に遭遇することもあります。このような時に取引所は、一時的に取引を停止することがあります。これをサーキットブレーカーといいます。

元々ボラティリティの大きな暗号資産では、サーキットブレーカーも発生しやすいです。特定の銘柄だけで発生しやすいというものはありませんが、特定の取引所だけでサーキットブレーカーが発動することもあります。

まとめ

暗号資産取引所にとって証拠金取引は稼ぎ頭です。海外の暗号資産取引所では、100倍以上のレバレッジを認める取引所も存在しているほどです。このような高レバレッジ取引を特徴として、近年大きく取引高を伸ばしてきている取引所も存在します。

執筆段階で日本の取引所のレバレッジは、どの程度に収まるかは不明です。しかし100倍のような高レバレッジを金融庁が認めることは無いでしょう。取引高を伸ばすためには、証拠金取引以外のサービスを早急に充実させる必要があります。