12月5日、日本の経済産業省はNFTとメタバースの「実証事業イベント第一弾」を同月の12日に実施すると明らかにしました。
このイベントでは民間企業に委託し、実証事業用のメタバース空間およびイベント空間を作成します。またNFTを通じたイベント空間への入場やプラットフォーム間の連携を実証して技術的課題を整理することが目的となっているということです。さらに参加者へのアンケートも実施することが予定されており、メタバースやWeb3領域におけるクリエイターエコノミーの発展に向けた施策の検討をより進めていきたい考えを示しました。
今回の実証事業は経産省が2022年7月に発表した「Web3時代におけるクリエイターエコノミーの創出に係る調査事業」のイベントの1つです。同省は今回の事業趣旨を以下のように説明しています。
本事業は、Web3やメタバース空間ビジネスについて、コンテンツやその空間を生み出すクリエイターの存在が必要不可欠であるという認識のもと、様々なアクターの本領域への参加を促進させ、結果としてクリエイターエコノミーの創出および拡充を実現させることを目的としています。
つまりクリエイターエコノミーの拡充やメタバース関連領域の進展のために、クリエイター収益を多様化させ、ユーザーの利便性を向上させたりできるように実験することが目的です。これらの実験に際して、以下の内容をテストする予定であることもすでに公表されています。
- 複数のメタバースをまたいだNFTの利用
- NFT保有を権利としたイベント参加等の新たな価値体験を提供
- ウォレット連携によるプラットフォーム間のログイン
経産省は実証事業の結果を取りまとめ、事業終了後に公表する予定だと説明しました。
実証事業とは
今回の実証事業でメタバース空間とイベント空間を作成するのは以下の3社となっています。
まずBeyondConceptの代表取締役でNFTクリエイターのmekezzo氏が、NFTを作成するということです。本イベントではクリエイターのディスカッションや、メタバースの未来に向けたディスカッションなどを予定しています。さらにNFT所有者のみが入室可能な空間を作り、デジタルアイテムギャラリーも設置する予定です。
加えて対象のNFTを所有するユーザーはそのNFTを鍵として使用し、monoAI technologyが提供するXR CLOUDメタバース上のMetaaniエリアで実施するイベントに参加することが可能となるのです。なおこのMetaaniエリアはBeyondConceptの提供となります。
そして同じNFTを保有するウォレットを連携することにより、SYNMNメタバース(Synamon提供)における期間限定の特設展示スペースへの入場も可能にするという内容です。
このような環境を構築し、NFTによるメタバース空間への入場を実験して、技術的課題を整理していきたい考えです。ユーザーにはNFTを会員権としたイベントの在り方や、プラットフォーム間の相互運用性など、ユーザー目線からのアンケートを実施します。
経産省はこれまでもWeb3関連の実証実験をおこなってきました。今年3月にはスタートバーン社を委託先に選び、NFTを活用したファッション産業における展示会の高度化について、実証事業を遂行しています。