COLUMN(コラム)

GMOコインに新規上場するBATトークンとは

2020318日、金融庁認可済みの暗号資産取引所であるGMOコインがベーシックアテンショントークン(Basic Attention Token/BAT、以下BATトークン)の新規取り扱いを開始しました。20203月現在で日本国内でBATトークンを取り扱っているのはGMOコインのみとなります。

今回はこのBATトークンおよびBATトークンの開発運営を行っているブレイブ(Brave)社について解説します。

ブレイブ社とは

ブレイブ社とはアメリカのサンフランシスコやイングランドのロンドンを拠点としている企業です。ウェブブラウザのブレイブ(Brave)の開発が主な業務となっています。

ブレイブ社の創業者兼CEO(最高経営責任者)であるブレンダン・アイヒ(Brendan Eich)氏は、以前モジラ(Mozilla)社のCTO(最高技術責任者)でした。モジラ社はウェブブラウザのファイアーフォックス(Firefox)の開発を行っている企業です。モジラ社から独立したブレンダン・アイヒ氏が、ライバル企業を立ち上げたということになります。

なおブレイブ者の創業者兼CTOであるブライアン・ボンディ(Brian Bondy)氏も元モジラ社で働いていました。モジラ社在籍当時は開発者として勤務しており、ウィンドウズ8メトロ用のファイアーフォックスの立ち上げなどに関わっています。

ウェブブラウザとは

20203月現在、マイクロソフトエッジ(Microsoft Edge)やグーグルクローム(Google Chrome)など複数のウェブブラウザがあります。これらのウェブブラウザにはそれぞれ特徴があり、自分の目的に合わせて使い分けることが重要です。

ただし全てのウェブブラウザの開発が当初の予定通りに進んでいるわけではありません。中には途中で方針を変更したり開発を断念したりしたプロジェクトも存在します。特に開発資金をどのように調達するかは大きな問題です。

ウェブブラウザの問題点

ウェブブラウザの問題点は収入源の確保です。ユーザー獲得とコミュニティ強化が必要なウェブブラウザでは、有料化が非常に難しくなっています。そこで強力なスポンサーを見つける、あるいは広告収入で稼ぐといった方法でマネタイズを行っています。

マイクロソフトエッジでは、ウィンドウズの開発を行うマイクロソフトが業務の一環として開発しています。またグーグルクロームは、広告収入により開発資金を稼いでいるウェブブラウザです。

しかしこのような方法が必ず成功するわけではありません。強力なスポンサーの数は限られていますし、広告業界では競争が発生しています。どのようにして収入を確保するかが、ウェブブラウザ開発の重要なポイントです。

ブレイブの目指す広告収入

ウェブブラウザのブレイブも広告収入を収入の軸としています。同じく広告収入により資金を獲得しているグーグルクロームにとってライバルと言える存在です。

ここで注目したいのが、ブレイブの考えている広告収入のモデルとグーグルクロームの展開している広告収入も出るが大きく異なっていることです。

ブレイブの考える広告収入モデルとグーグルクロームの考える広告収入モデルの違い

グーグルクロームの考える広告収入モデルは、ユーザーの興味を引きそうな広告を運営側が判断して表示しています。言い換えるとユーザーは、受動的に広告を見せられているわけです。このためユーザーは必ずしも広告に興味があるわけではありません。

これに対してブレイブの考える広告収入モデルは、能動的にユーザーに広告を見て貰う形となっています。広告が表示されるタイミングになると、まず簡単な説明のついたポップアップなどの形で告知が行われ、この説明をもとに広告を見るかどうかをユーザーが自分で選ぶことが出来るわけです。

グーグルクロームの考える広告収入モデルのデメリット

一番大きなデメリットは、グーグルクロームを使っているユーザーよりもサービス提供をしているグーグルの事情を優先にしているところです。

例えばグーグルクロームで表示される広告は、ユーザーの好き嫌いを無視して表示されます。このためユーザーの心情や興味に関係ないものが掲載されることも少なくありません。

また広告は見て貰うことが第一であるため、動きのあるバナーなどを用意していることもあります。見て貰うという目的には適合していますが、同時にユーザーに嫌悪感を与える危険性も含んでいます。

このような事情から、広告を表示させない拡張機能も増えてきています。しかし広告表示を禁止している拡張機能をオンにしているとページを閲覧できないサイトなども存在し、広告主とユーザーの関係は改善されていません。

またこのような広告表示や広告非表示の拡張機能は、ユーザーの通信リソースを消耗させるというデメリットも存在します。このようなデメリットの改善がブレイブの考える広告収入モデルといえます。

まとめ

インターネットの普及により広告は、新たな形式を生み出していきました。バナーなどで小さなスペースに掲示する広告を用意したり、多くの影響力を持つ人に商品やサービスを体験してもらって告知したりと多種多様です。

しかしこれらの広告の一部は、ユーザーに嫌悪感を与えることになりました。基本的には広告主も、ユーザーとの良好な関係を求めています。ブレイブ社の考える広告収入モデルは、グーグルに対する挑戦ともいえるでしょう。