COLUMN(コラム)

エフコインは撤退か再稼働か

20202月中華系の暗号資産取引所であるエフコインがメンテナンスに入りました。公式ホームページでの表記上はメンテナンスですが、既に1か月以上メンテナンス状態のままです。既に関係者が撤退したという報道もあり、復帰する可能性があるのかも不明です。

今回はこれまでのエフコインと今後の対応について解説します。

エフコインとは

エフコインは、2018年に登場した暗号資産取引所です。取引マイニングという新しい取引方法で急速に取引量を伸ばし、取引所のランキングサイトでも一時的に上位へ登っていきました。

取引マイニングとは

取引マイニングとは、特定の暗号資産取引所内で取引を行うと取引所が独自に発行している暗号資産を受け取ることが出来るという仕組みです。

本来取引所で取引を行うと、手数料として取引額の一部が徴収されます。取引マイニングでは、この手数料徴収に合わせて独自発行している暗号資産をユーザーに渡すというものです。

取引所としては手数料の徴収と暗号資産の普及の2つを同時に行えます。ユーザーも同額の暗号資産を受け取ることが出来るため、損失を抑えることが出来ます。取引所とユーザー両方にメリットがあるということで、エフコイン以外にも取引マイニングを導入する取引所が登場しました。

取引マイニングのメリット

取引マイニングのメリットは、取引所・ユーザーの双方にあります。取引所としては手数料の徴収と暗号資産の普及の2つを同時に行えます。ユーザーも同額の暗号資産を受け取ることが出来るため、損失を抑えることが出来ます。もし暗号資産が上昇すれば、手数料以上の価値を得ることもあるでしょう。

取引所とユーザー両方にメリットがあるということで、エフコイン以外にも取引マイニングを導入する取引所が登場しました。

取引マイニングのデメリット

取引マイニングのデメリットは、お金の流れに不透明さが生まれることです。暗号資産はブロックチェーンで管理されており、ブロックチェーンは改ざんしにくいという特徴があります。このため取引マイニングでも透明性が高いものだという錯覚に陥りやすいです。

しかし取引マイニングで受け取ることのできる暗号資産は、取引所が発行しています。中央集権型のデジタル資産と言えるでしょう。このため今回のエフコインのように取引所が長期メンテナンスに入ると、暗号資産としての価値が暴落します。中央集権型の問題点と言えるでしょう。

アンチェーンAIのエフコインに関するレポート

20203月段階のエフコインの公式ホームページでは、メンテナンスと発表されています。これに対してアメリカのサンホセにオフィスを構えるAIやブロックチェーンのセキュリティ企業であるアンチェーンAI(AnChain.AI)は「技術的な問題か計画的な詐欺か」というタイトルでエフコインに関するレポートを提出している。

このレポートではエフコインのこれまでのアナウンスやトランザクションフローから、現在のエフコインの現状を予測している。

アンチェーンAIのレポート1.エフコインの資産額・負債額

アンチェインAIのレポートでは、エフコインの公式ツイッターが挙げているアナウンスの画像を取り上げている。この画像には「7000-13,000BTCの規模で返済できないかもしれない」と記述されている。

アンチェーンAIのレポート2.エフコインのコールドウォレット

アンチェーンAIでは、エフコインのコールドウォレットに保管されていたはずの資金の行方を追跡しています。アンチェインAIは、エフコイン発足間もない20186月頃に公開されたコールドウォレットのアドレスと長期メンテナンスに入った20202月頃の同アドレス内の資金の画像を公開している。

20202月頃のコールドウォレットからは、合計で25350BTC以上を受け取っていたことが判明している。しかしほぼ同額が送金されており、エフコインのコールドウォレットはほぼ0である。

トランザクションを遡ると、複数のアドレスを使っていることも確認できる。特にエフコインが長期メンテナンスに入る直前の20201月にピークを迎えており、バイナンスやOKExなどの複数の取引所に小分けして送金されている。

エフコインの現状

メンテナンスと発表しているエフコインだが、20203月段階もアナウンスは更新されている。229日に更新されたアナウンスでは、「エフコインの再起動の高速化に関する声明」を発表した。

エフコイン自体も負債額があることを認めている。36日のアナウンスによるとエフコインの総資産額は約18,100USDTである。一方でエフコインユーザーの約70%、帳簿資産全体の30%~35%が汚染されていると推測している。このためエフコインユーザーの実際の資産キャップを約9,000USDTだと計算した。

まとめ

エフコインのアナウンスを信じるならば、エフコインは再起動の準備を進めているのでしょう。しかしアンチェーンAIの指摘しているように一部の資金は、不健全な形になっているようです。今回の資金流出疑惑を受けてエフコインがどのような監督体制を敷くのか、まずはここに注目した方が良いかもしれません。