COLUMN(コラム)

ミンブルウィンブル(Mimblewimble)とは

仮想通貨に対する規制が各国で進んでいます。特に強化されているのは顧客の本人確認(Know Yourself Customers:KYC)とマネーロンダリング及びテロリストなどへの資金流出対策(Anti Money Laundering:AML)です。

KYCAMLを強化するにあたり、匿名性のある仮想通貨の扱いが問題となっています。匿名性のある仮想通貨は本人確認が難しく、サイバー攻撃などの犯罪行為の身代金として匿名性のある仮想通貨を要求したケースも存在します。

そこで注目を集めているのがミンブルウィンブル(MimbleWimble)という手法です。今回はミンブルウィンブルについて解説します。

 

ミンブルウィンブル(Mimblewimble)とは

ミンブルウィンブルの名前の由来は、映画にもなったファンタジー小説「ハリーポッターシリーズ」に登場する呪文です。日本語では「むにゃむにゃ」となっており、正確な名称は出ていません。

ミンブルウィンブルの特徴は、答えの分かっている計算式です。

従来の仮想通貨のブロックチェーンは、取引や送金などのトランザクションひとつひとつを検証し、数量に間違いがないかを検証していました。

言い換えるとひとつひとつ計算を行うことで答えを算出し、おかしな点が発生していないかを確認しています。

これに対してミンブルウィンブルでは、答えが先に分かっており計算式の一部が不明(匿名)になっています。この不明部分が匿名性です。

先に答えが分かっているため、おかしな点があったかどうかの確認をすることができます。更に匿名部分を計算で導くためには総当りを行うしかありません。

この他にもアドレス不要、データサイズが小さいなどの特徴があります。アドレスが不要であるため、誰が誰に送金しているのか特定されることがありません。またデータサイズが小さいので、スケーラビリティ問題が起こりにくいです。

 

匿名性を持つ仮想通貨の必要性

20195月現在、仮想通貨は高い透明性を保たなければいけないという流れの中にあります。これはKYCAMLを強化しなければいけないという判断があるためです。

しかし透明性が高すぎれば逆に使いにくくなるのではないかと見ている専門家もいます。

例えば現在日本ではキャッシュレスの流れが来ています。しかしキャッシュレスということは、誰がいつ何をどのくらい購入したという正確な情報が企業に伝わるという意味でもあります。

企業に情報が伝わることは必ずしも悪いというわけではありません。小売業などのキャッシュレスであれば、在庫切れなどの不安を大きく減らすことも出来ます。ただし悪用される危険性があることも事実です。

一般公開される仮想通貨のブロックチェーンでは、送金側・受金側双方のアドレスと使用した数量が公開されます。こういった情報が悪用されるかもしれないという危険性が、利用者を遠ざけるかもしれません。

利用者に安心して使ってもらえる、かつ犯罪利用されない程度に匿名性を保つことが、匿名性のある仮想通貨の必要性です。

ミンブルウィンブルを取り入れている仮想通貨

ビーム(Beam/BEAM)とグリン(Grin/GRIN)がミンブルウィンブルを取り入れています。ビームとグリムはどちらも匿名性のある仮想通貨で、共にプライバシー保護・スケーラビリティを特徴として挙げています。

またどちらもPoWをコンセンサスアルゴリズムとしており、ASICでマイニングすることが可能です。

逆にビームとグリンの違いとして、プログラム言語とマイニングアルゴリズムが挙げられます。ビームはC++を採用しているのに対し、グリンはRustを使っています。

マイニングアルゴリズムに関してはビームはEquihash、グリンはCuckatooです。Equihashはジーキャッシュ(Zcash/ZEC)が使用しているアルゴリズムです。

ただし仮想通貨の時価総額ランキングでみるとビーム・グリンともに20195月段階では100位にも入っていません。それぞれ単独では上位に入り込むにはまだ知名度が足りない状況です。

しかしビームとライトコインの運営母体であるライトコイン財団が提携したことを20192月に発表しました。これによりライトコインがミンブルウィンブルを実装することが可能になるかもしれません。

ライトコインは時価総額ランキングで10位以内に入ることもできる銘柄です。これにより時価総額ランキング上位にミンブルウィンブルを取り入れた仮想通貨が生まれる可能性が生まれたわけです。

 

まとめ

プライバシー保護について、それぞれの仮想通貨が独自に方向を模索しています。20195月段階で時価総額ランキング2位となっているイーサリアムも共同創設者であるヴィタリク・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がプライバシー強化を訴えました。

これまでにもイーサリアムは、ゼロ知識証明を形にした技術zk-SNARKsの実装を検討しています。

今後仮想通貨でのプライバシーや匿名性の考え方は、少しずつ変化していくかもしれません。

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