暗号資産取引所SBI VCトレードは26日、暗号資産を利用せず日本円だけでNFT売買可能なウォレットサービス「SBI Web3ウォレット」の開発を発表しました。
購入したNFTはSBI VCトレードがカストディアルで預かる仕組みを採用しており、事業者にとっては暗号資産の価格変動リスクを回避できるほか、専門知識の必要なウォレット管理が簡略化されることとなります。
主にNFTをマーケティングに活用したい企業の利用を目指しており、参入障壁を下げることを目標に掲げている状況です。また一般利用者にとってはデジタルウォレットの「秘密鍵」を紛失・流出するリスクがなくなるのが大きなメリットです。
「SBI Web3ウォレット」はグループ会社のSBINFT株式会社のほか、暗号資産・ブロックチェーン事業者向けのエンタープライズサービスを開発・提供するGincoとの共同開発となっています。このウォレットのローンチは2023年1月を目処に行われる見込みです。
今年4月、GincoはSBIリクイディティ・マーケットと暗号資産・ブロックチェーンインフラ構築に向けた基本合意書を締結し、「Gincoの技術力とエンタープライズ水準のサービス開発力を活かす」としていました。
関係者コメント
今回の発表を受けてCoinPostはSBINFT株式会社に対して「SBI Web3ウォレット」に関するインタビューを実施し、開発理由や今後の展望などについて伺っています。
作成の背景とは
Web3の世界にアクセスするには原則的にMetaMaskに代表される、ウォレットアプリをインストールする必要がありました。日本は、アニメ・マンガ・ゲームをはじめとしたコンテンツ大国ですが、NFTをはじめとしたWeb3事業の展開には苦戦しています。
暗号資産の複雑な会計処理やウォレットアプリの秘密鍵の管理が参入する事業者の課題となります。安心したサービスを提供できないことから、参入を見送るというケースが多々ありました。
そこで利用者が扱いやすいウォレットを作れば市場が大きくなるだろうと考え、暗号資産取引所がウォレットの秘密鍵を管理し、さらに自動円転システムを開発して会計処理がしやすくなれば、事業者も参入しやすくなるだろうと考えています。
開発の意義とは
このウォレットの特色である、暗号資産取引所がNFTをカストディアルで預かるサービスによって、ウォレットの秘密鍵を紛失したり流出する心配も少なくなり、Web3のマス化が一気に図りやすくなったというのが大きな特徴です。
さらに日本円でオンチェーンのNFTを買うことができことから、この仕組みを持った「SBI Web3ウォレット」こそ、日本のWeb3の一般普及のプロダクトの決定版として意義があると考えています。
どのような変化をもたらしていきたいのか
今後、SBI Web3ウォレットを多くの外部のdAppsと繋ぎたいと考えています。Web3の理念である「共創社会」の中心核を担うウォレットになりたいというのが本音です。このウォレットを使えば、暗号資産をあまり意識せずにWeb3の世界に入ることが可能になっています。
将来、日本人1人ひとりが生活必需品としてWeb3ウォレットが必要になる時代が来ると感じており、このウォレットが日本のデファクトスタンダードになるポテンシャルを秘めていると思ってます。
NFTマーケットを展開
SBIグループは以前からNFT領域へ力を入れており、SBINFT株式会社が運営を担当する形でNFTマーケットプレイス「SBINFT Market」を展開してます。
同マーケットではイーサリアムまたはポリゴンを使った、NFTの作成・販売・購入が可能です。またクレジットカードでの決済でもNFTを購入することができます。
株式会社スマートアプリが開発していたNFTマーケットプレイス「nanakusa」をリブランディングして誕生した経緯があり、アート流通・評価システム「Startrail」を導入している点も大きな特徴となっています。
さらに大手企業とも提携しており、8月には音楽配信サービス運営レコチョクと戦略的パートナーシップ締結を発表しました。10月25日には宝塚歌劇団のOのNFTコレクション「TAKARAZUKA OG NFT」が販売されることも発表されています。