米中対立と暗号通貨の関係
8月12日、東欧4カ国を歴訪中のポンペオ米国務長官は米中関係について「旧ソ連との冷戦以上だ。」と警鐘を鳴らしています。
米政府が台湾に「シーガーディアン」と呼ばれる高性能大型ドローンの交渉を持ちかけていることが伝わると、米中間の緊張が一段と高まるおそれから懸念の声が多く上がっています。一方の台湾では、昨今の香港情勢などを踏まえて軍備を増強しているということです。
しかし米中対立が激化には、世界的金融緩和や香港情勢などの地政学・政情不安が資本逃避を後押しするとの思わぬ影響も出ています。
これについては2019年にあった米中貿易摩擦が前例となっており、当時は各国の通貨安競争に起因する世界的な金融市場の不確実性がゴールド及びビットコイン市場への関心上昇をもたらしました。
deVere GroupのグリーンCEOは「米中対立などの地政学リスクの影響を少しでも和らげるために、伝統金融資産の投資家はビットコインなど非中央集権デジタル資産へのエクスポージャーを増加している。」と述べました。
さらに、現グローバルマクロインベスターのラウル・パルCEOは「ビットコインが次の2年間で世界で最もパフォーマンスの高い主要資産になる可能性が高いことを示している。」と高く評価しています。
米上場企業が続々と暗号通貨保有へ
今月12日には、ビジネスインテリジェンスサービスを提供する米ナスダック上場企業のMicroStrategyによる20,000BTCの保有が明らかになりました。
先月末の株主総会で同社は、今後1年間で最大2.5億ドルをBTCやゴールドなどの代替資産に投資することを発表していました。また、ゼロに近い金利や中央銀行によるインフレリスクといった問題点を指摘するとともに、米ドルの保有高を減らす投資方針の打ち出しに尽力しています。MicroStrategy筆頭株主には世界最大の資産運用会社BlackRockらが名を連ねているということです。
昨年7月にはBlackRockのラリー・フィンクCEOが米CNBC経済番組にて「暗号通貨などの新興技術には極めて大きなニーズがある。」との見解を示しました。
さらに「これまでの国際金融システムのままではテクノロジーが急速に進化を続ける中ではデメリットも残っている。」と指摘し、「手数料を抑える仕組みと、外貨交換における民主化が必要になっている。」と述べました。さらに国際通貨システム変容の必要性を説き、暗号通貨の可能性にも多く言及しています。
高騰続くイーサリアム
近年のDeFiムーブメントや大型アップデート「ETH2.0」により、投資家におけるイーサリアムへの関心はますます大きくなってきています。さらに今月14日には前日比一時10%高の430ドル台を記録しました。
今回のイーサリアム高騰はビットコインキャッシュを抜き、時価総額5位まで躍進しています。これには「暗号通貨チェインリンクの急騰が追い風となったのではないか。」との声も多く寄せられています。
この続伸の背景には今年6月以降のDeFiバブルの恩恵でチェインリンク採用事例の増加など複数要因が影響しているのではないかとも考えられ、Kyber NetworkやSynthetix、bZxを含む複数の大手DeFiプラットフォームが、チェインリンクのオラクル機能を採用するなど、様々な面からの実需が高まっています。
さらに中国政府に属する国家情報センターがローンチしたブロックチェーンサービス「BSN」が今年6月にオラクルの導入を発表したことなどが重なり、さらなる買いを呼び込むという状態が続いています。
一方、この反動でネットワーク手数料「GAS代」が300Gweiを超えるなど高騰し、dApps市場などでユーザーの利便性に大きな影響を及ぼしています。
これについてCertus OneのHendrik Hofstadt氏は「DeFiにおけるスパム取引が原因だと分析したが、UniswapなどDeFiプラットフォームで大規模な取引が行われた際に稼働するbotが影響しているのではないか。」とコメントしました。