2件の大きな不正流出事件とビットコインを始めとした各通貨価格の乱高下により、2018年は仮想通貨業界や投資家にとっては、忍耐と苦難の1年となったようです。
仮想通貨投資に興味のあるみなさんにとって、いろいろな意味でたいへんな年だったのではないしょうか。
そんな中、年も押し詰まった12月20日にになって、ビットコインが4日連続で急速な価格の上昇をみせています。
一時的に値を下げる場面も見られたものの、結果としては3万円を超える伸びを記録しました。
今回はこうした仮想通貨市場の回復のなかで、ビットコインに次ぐ人気と独自の存在感を持つイーサリアムについて、2019年の動向を考えていきましょう。
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イーサリアムの特徴とは?
いまさらわかりきったことを、という人もいるかもしれませんが、実は「イーサリアム」とは仮想通貨そのものを指す名前ではありません。
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イーサリアムはイーサ(ETH)という通貨を持っており、イーサリアムのプラットフォーム内で流通されています(もっとも、最近ではこの通貨が「イーサリアム」という名前で呼ばれることも多いです)。
ウィキペディアによると、「分散型アプリケーション (DApps) やスマート・コントラクトを構築するためのプラットフォームの名称、及び関連するオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトの総称」となっています。難しい説明になっていますが、確かに「仮想通貨」だとはどこにも書かれていませんね。
「スマートコントラクト」技術を利用した仮想通貨システムで、「世界のコンピュータ」ともよばれるEVM(Ethereum Virtual Machine)が「イーサリアム」の最大の特徴です。
このスマートコントラクトによって、ビジネス上の契約をすべてネット上で自動的に行うことにより、仲介手数料の必要がなく契約書の改ざんを防ぐことができる技術です。
スマートコントラクトについては以前の記事も合わせてご覧ください!
こうした将来性の高い技術を持ったシステムを持った仮想通貨であるため、イーサリアムは高く評価されているのです。
イーサリアムの最近の動き
2018年のイーサリアム相場は、大きな試練を迎えていました。
2018年5月6日、イーサリアムは92,680円の最高値をつけたものの、90,000円台をキープしたのはわずかな期間だけでした。それ以降の価格は下落の一方で、9月18日には、25,000円台まで下落してしまいました。
その後ある程度持ち直したものの、2018年11月19日に再び大きく値を下げ、1万7000円台への落ち込みを見せるなど、乱高下する不安定な状況が続いています。
最も盛り上がった時期には15万円台に乗せていたこともありましたが、それから実に10分の1の価格にまで下落しました。
イーサリアム暴落、3つの要因
イーサリアムがここまで下落した要因は、大きく3つにまとめることができます。
1.ビットコインキャッシュ(BCH)の分裂騒動
11月16日に行われたハードフォークにより、同じ仮想通貨の種類である「ビットコインキャッシュ」は、「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」という2つのチェーンに分裂しました。それにともない、仮想通貨市場にも混乱が広がっています。
ビットコインキャッシュは、コミュニティが中心となって通貨の開発が行われています。
イーサリアムもビットコインキャッシュと同じコミュニティ主導型の通貨なので、こうした分裂騒動などが発生すると、イーサリアムも同じ分裂の可能性を持っているとみなされ、投資家の間で不信感が高まってきています。
こうした流れから、イーサリアムに対する売り圧力も高まっているのです。
2.ICOの減少
資金調達の手段であるICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行う際には、トークンというブロックチェーン上の独自コインを発行します。現在はその80%以上がイーサリアムのプラットフォームを活用して作られています。
2018年に多く発生した不正流出事件により仮想通貨に対するイメージが低下したために規制当局の規制が強くなり、ICOを行うことが非常に難しくなっています。となると、実質的にイーサリアムに対する需要も減少しているということを意味するため、投資家にしてみればイーサリアムは魅力が下がってしまって「売り」だと考えることが大勢を占めるようになっているのです。
3.アップデート(コンスタンティノープル)の延期
イーサリアムが2018年の年内に予定していた次期アップデート「コンスタンティノープル」が2019年1月に延期されました。
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イーサリアムは4度のアップデート(「フロンティア」「ホームステッド」「メトロポリス」「セレニティ」)をへて開発が終了し最終の完成形になるとされており、今回延期されたコンスタンティノープルは3度めのアップデート「メトロポリス」の後半部分にあたります。
仮想通貨のアップデートはより高い技術をプラットフォームに取り入れ、ユーザーの利便性や通貨の価値を高めるために行われるのですが、この次期アップデートが延期されたことにより、投資家の間でイーサリアムへの失望が広がることは避けられません。
特に、このコンスタンティノープルには「EIP1234」という重要な項目が含まれています。これには、仮想通貨をマイニングするマイナーに対する報酬(3ETH→3ETH)の減額が定められています。
マイナーにとってみれば、マイニングに対する自分たちの稼ぎがアップデートにより下がってしまうので、当然ながらイーサリアムに対する売り圧力が高まることが予想されます。
長期的な視野で見れば、イーサリアムのインフレ率を抑制し価格を安定させる効果が期待できますが、短期的な状況としてはよくない材料と言えるでしょう。
まとめ
説明してきたように、イーサリアムをめぐる環境はかなり厳しくなっており、急激な価格の回復を期待することは難しいでしょう。
しかしながら、これまでのアップデートによりテスト環境のみで動かしていたイーサリアムを開発者向けに開放して安定的な稼働を実行できるようになり、セキュリティとぷらいばしー強化を行うことができました。
イーサリアムの創業者であるヴィタリク・ブテリン氏は、11月に日本経済新聞の取材に応じ、「仮想通貨は法定通貨と(競合するのではなく)共存する」との考えを示しました。
また、ブロックチェーンそのものの実効性に関しては「既に実用価値を生み出している」と自信をのぞかせています。
規制当局の規制強化や仮想通貨のイメージ低下などの負の側面も目立った2018年でしたが、ビットコイン相場の回復傾向やセキュリティ・ユーザー保護の流れなど、仮想通貨をとりまく環境は少しづつではありますが良くなっています。
2019年以降の仮想通貨市場は、ギャンブル的なユーザーが退場しより健全な市場環境となっていくことでしょう。仮想通貨投資家も「目先の利益の追求ではなく、長期的な視点で投資を行っていく」という姿勢がより重要となってくることでしょう。
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