暗号資産の歴史の中で、アメリカと中国は特に影響力のある国です。
アメリカは議会がリブラに反対したり、米証券委員会(SEC)が数多くの銘柄やETFの審査を行っています。また2013年12月に中国は金融機関による暗号資産の禁止しました。
これ以降中国は暗号資産やマイニングに対する規制を強めています。
しかし10月24日、これまでの姿勢と一転して中国がブロックチェーンを奨励する姿勢を明確にしました。
これによりビットコインが高騰、更にオントロジーなどの中国産アルトコインも価格を伸ばしています。
今回は中国の暗号資産の歴史についてまとめます。
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中国と暗号資産の関係
中国の人々が暗号資産に興味を持った背景には、中国の法定通貨である人民元の持ち出しを制限したい政府と積極的に投資をしたい投資家との意見のすれ違いにあります。
そこで中国の投資家は、人民元ではなくビットコインなどの暗号資産に変えて国外へと持ち出す方法を導き出します。
暗号資産に変える方法は大きく2通りです。
ひとつは直接暗号資産を取引する方法、もうひとつはマイニングなどのトランザクション確認および承認を通じて暗号資産を手に入れる方法です。
マイニング関連施設も充実
マイニング関連で世界的に有名な企業としてビットマインがあります。
ASICという特殊回路を使ったマイニングマシンの開発に成功した中国の企業です。
現在ではマイニングマシンの開発だけではなく、アントプールというマイニングプールの子会社を有しています。
また国土が広い中国では、四川省など気温が低く電力の豊富な地域があります。
こういった地域ではマイニングが盛んにおこなわれていました。
中国の金融機関による暗号資産の取り扱い禁止
中国政府が暗号資産に対して否定的な行動を明確にしたのは、2013年12月の金融機関による暗号資産取り扱い禁止です。
このニュース以前のビットコインの価格は、1BTC=12万円を超えていました。
しかしこの報道により1BTC=8万円強まで落ち込んでいます。
加えて今後、中国は暗号資産について規制の手を強めていきます。
中国の大手暗号資産取引所が閉鎖
2017年10月にBTCチャイナ・OKコイン・火幣などの複数の暗号資産取引所が業務停止を発表しています。
この当時のビットコインは既に高騰傾向に入っており、1BTC≒85万円にまで到達していました。
しかし11月に入ると一時的に、1BTC=70万円を割るまで下落しています。
中国の国営新聞1面にビットコインが登場
中国の国営通信社である新華社の1面にビットコインのことが掲載されました。
記事中でビットコインは、近年で最もホットな話題のひとつとして紹介されています。
ブロックチェーンに関する話題だけではなく、アドレス・秘密鍵・マイニング・半減期といったビットコインに関する専門用語についても、簡単な解説が加えられています。
またダークウェブの存在・電力消費量の多さ・価格の変動のしやすさなどをビットコインの問題点として挙げています。
ウィーチャット・アリペイでの暗号資産関連アカウント禁止
中国で大きなシェアを誇るSNSのウィーチャットが2019年5月、支払いポリシーを更新しました。
新しいポリシーには、トークンの発行・資金調達・暗号資産の取引活動を提供できないことが明言されています。
アリペイでも2019年10月、暗号資産関連のあらゆる決済禁止を発表しました。
また、2019年11月11日に中国の大手ECサイトであるアリババが独身の日の特売を行いました。
この日に決済金額の一部がビットコインとして還元されるアプリLolliとの提携を発表しています。
アリババ以外にもLolliは、宿泊施設予約サイトのHotels.comや大手スーパーマーケットのウェルマートなどとも提携しています。
中国のブロックチェーン奨励は、習近平国家主席も発言しています。中国がブロックチェーンに力を入れる意思があることは間違いないでしょう。一方で暗号資産に関しては不透明です。ウィーチャット・アリペイの反応から中国政府が規制を強めていると推測されていますが、中国国家発展改革委員会のマイニングを禁止しないという報道あたりから方針が見えなくなっています。
これまで通り規制を強めていくのか、あるいは緩めていくのか、今後中国政府が暗号資産に対する方針を変えることも含めて、あらゆる可能性も考慮しておくべきかもしれません。