マウントゴックスとはかつて日本に存在した仮想通貨取引所です。
元々はカードゲームであるマジック・ザ・ギャザリングのカードを取り扱っていました。
かつては世界最大級の仮想通貨取引所とまで言われましたが、たびたび怪しい動きも見せており、2014年についに資金流出のために破たんしています。
今回はマウントゴックスの資金流出や破たんの及ぼした影響についてまとめます。
マウントゴックスの残した影響
マウントゴックスが資金流出した原因1.サイバー攻撃
マウントゴックスが資金流出した原因ははっきりしていません。疑われている要因としては大きく2つあります。ひとつ目が外部からのサイバー攻撃です。
仮想通貨取引所を狙ったサイバー攻撃は2019年2月現在でも行われています。2018年1月には日本の仮想通貨取引所であるコインチェック、同年9月にはザイフがサイバー攻撃を受けました。
2019年1月にもニュージーランドの仮想通貨取引所クリプトピアでセキュリティ侵害が確認されています。マウントゴックスも外部からサイバー攻撃を受けた可能性は否定できません。
マウントゴックスのサイバー攻撃を行った人物として疑惑を集めているのは、ブルガリアの仮想通貨取引所BTC-eの運営者とみられるアレクサンダー・ビニック氏です。
同氏はマネーロンダリング疑惑で逮捕されていますが、他にも容疑があるのではないかといわれています。その中のひとつがマウントゴックスです。
ただし本当に同氏がマウントゴックスに関わったかどうかは不明です。同氏には複数の容疑に関わったと見られており、さまざまな案件で取り調べが行われています。そのためマウントゴックスについて調査が進められないという状況です。
マウントゴックスが資金流出した原因2.内部犯行説
2つ目の原因は、マウントゴックス内部の人間による犯行、あるいは内部関係者が協力したという可能性です。日本の警察はこの内部犯行説を有力視しており、当時マウントゴックスのCEOだったマルク・カルプレス氏を私電磁的記録不正作出・同供用容疑、及び業務上横領の容疑で逮捕しています。
同氏の裁判は2018年12月から開始されています。裁判で同氏は無罪を主張、最終弁論でも一貫して無罪を主張しました。一方検察側は懲役10年を求めています。判決は2019年3月の予定です。
マウントゴックスの管財人問題
マウントゴックスの資金流出は、さまざまな形で現在でも影響を与えています。そのひとつが裁判です。そして2つ目に再生管財人の問題があります。
破たんしたマウントゴックスですが、仮想通貨を残していました。この取り扱い方法が問題となっています。
マウントゴックスが破たんした当時、ビットコインの相場は1BTC=約1万8,000円でした。これに対して2019年2月現在のビットコイン相場は、1BTC=約40万円と高騰しています。
マウントゴックスの残した負債額は456億円にのぼります。残った仮想通貨を売却することで、負債の補填にあてるというわけです。ここで問題になっているのが売却方法です。
マウントゴックスの管財人は弁護士の小林信明氏が務めています。2018年3月、同氏は東京地裁に報告書を提出しました。この報告書によると、同氏は既に5回仮想通貨の売却を行っていることが明らかになっています。
小林氏は2017年12月から2018年2月までに5回に分散して仮想通貨を売却、売却した仮想通貨の枚数は合計でビットコイン3万5,841BTC、ビットコインキャッシュ3万4008BTCになります。日本円にすると約430億円です。
更にその後の発表で6月22日までの間に2万4,658BTC、2万5331BTCも売却しています。こちらを日本円にすると約260億円です。これだけの大きな数量をオンライン上の取引所で取引したため、相場の動きが鈍くなったのではないかと疑われています。
元提携先との問題
マウントゴックスの元提携先のひとつに、アメリカのハイテク企業であるコインラブがあります。マウントゴックスの米国展開のためにコインラブは、2012年にライセンス契約を締結しました。
しかしマウントゴックスの資金流出問題のため米国展開がなくなっています。コインラブはこの時の契約に対して、損害賠償など約1兆7,000億円を請求していることが明らかになっています。
コインラブは2013年にもマウントゴックスに対し、7,500万米ドルを請求する訴訟を起こしました。今回の請求は、以前の請求額から大幅に増額されたことになります。
なおコインラブはマウントゴックスが問題なく運営できていれば、現在米国最大手の仮想通貨取引所であるコインベースのような存在になっていたとも主張しています。
まとめ
マウントゴックスが経営破たんしてから、既に5年近い時間が経過しました。しかしマウントゴックスの残した影響は、今でもさまざまな形で仮想通貨業界に影響を及ぼしています。
資金流出の原因・破たん後の対応・賠償金問題とひとつひとつを見れば、関連性は薄いでしょう。今後同様の問題が発生しないためにも、個別ではなく全体を捉えた対応が必要になるかもしれません。
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