COLUMN(コラム)

自民党:NFTホワイトペーパーの第2弾作成が明らかに

自民党の「Web3PT」が2022年3月に発表した提言書「NFTホワイトペーパー」について、第2弾が作成される計画が明らかになりました。

Web3とはGAFAなどの巨大なプラットフォーマーが圧倒的なシェアを握るWeb2時代を脱却した、次世代インターネットとして注目を集める概念です。NFTなど、ブロックチェーン技術によりWeb2で発展した双方向性に所有権の要素が追加された考えとなっています。

大企業だけではなく個人がデータの所有権を持ち、個人が利益を挙げられる上に、公平かつ分散型のウェブ社会に移行すると考えられています。

今回発表されたNFTホワイトペーパーはWeb3を「デジタル経済圏の新たなフロンティア」と定義しています。その起爆剤であるNFTを含む経済圏の育成を国家戦略として定めるべきと提言したことが定義のきっかけです。

これを機に自由民主党のデジタル社会推進本部はデジタル施策に対する具体的な提言「デジタル・ニッポン 2022」を発表する運びとなったのです。ここでは人材の流出につながる、日本の抱える税制課題などを明確にしました。

こうした提言を受けて日本政府はWeb3の環境整備を本格化する骨太方針を6月に閣議決定しています。さらにNFTやDAO利用等のWeb3推進に向けた環境整備の検討を進める方針も明言しました。

これを受けて金融庁経済産業省は企業が自社で発行・保有する暗号資産に対する課税方法を見直す方針を表明し、関係省庁もそれぞれ、ブロックチェーンを基盤としたWeb3に関連する事業環境課題の検討、体制強化を掲げています。

「NFTホワイトペーパー」第2弾の注目点

デジタル社会推進本部の本部長代理を務め、Web3PTで座長を務める平将明 衆議院議員は、これまで一貫して岸田総理の掲げる新しい資本主義の「成長戦略の1つの柱としてWeb3.0を位置づけることの重要性」を訴えてきました。

平氏は8日付のブルームバーグのインタビューで「金融庁など各省庁がものすごい勢いで世界の流れにキャッチアップしており、勢いが付いてきた。」とコメントしています。

10月には国内の暗号資産取引所が新規銘柄を取り扱う際の上場前審査について、年内にも原則撤廃することが報じられました。ASTRトークンも9月にbitbankで国内初上場を果たしています。

しかし、平将明議員は世界との競争環境を鑑みた国内の改革は「まだまだ不十分」と指摘。第2弾となるNFTホワイトペーパーでは主に以下の4点が深堀りされる方針であることも明らかになっています。

  • 暗号資産を巡る税制改革
  • 会計課題
  • 上場審査
  • 分散型自律組織(DAO)に対する環境整備

デジタルエコノミー案件を請け負ってきた弁護士チームで構成されるWeb3PTは、Web3当事者との議論を通して課題を洗い出してきました。Web3PTは上記課題についてこれから議論にかけ、年内にも中間案を取りまとめて政府に提言する計画です。

日本発のアスターネットワーク(ASTR)の開発を手掛けるステイクテクノロジーズの渡辺創太最高経営責任者(CEO)もまた、NFTホワイトペーパーにより、ウェブ3の推進に向けて日本の課題が明確化され、「関連企業や各省庁のスピードが加速したと体感している」と評価しました。

渡辺氏は特に自社だけでなく、他社のトークンの保有に対する期末課税の見直しの必要性を指摘しています。トークンにおける期末課税など、過剰な税制度の課題が払拭されることで、国内の有望スタートアップ企業・人材の海外流出に歯止めがかかるという2点を見込んでの考えです。

なおデジタル庁は2日、第5回のWeb3研究会にて独自のDAOを設立する方針を明らかにしており、実際にDAOに参加することでDAO設立・運営・ガス代を含む財務管理など、課題や可能性を認識していくということです。