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暗号資産納税の落とし穴

暗号資産の納税には、税率や課税対象などが細かく複雑です。金融庁も分かりやすいように納税方法をまとめた資料を作成していますが、一方で暗号資産業界の新サービスも増えています。このような背景もあり、どのサービスが課税対象になっているのかユーザー目線からは不鮮明です。今回は暗号資産の確定申告前に注意したい落とし穴について解説します。

無料で貰えるサービスには要注意

20201月現在の課税法案は、交換による差額を利益あるいは損益として計算しています。このため無料で暗号資産を貰えるサービスに対しては、0円で交換したという扱いになる可能性があります。無料で暗号資産を貰えるサービスは、貸暗号資産サービス(レンディング)・ステーキング・(通常)マイニング・取引マイニング・ゲーム・少額投資サービスなどがあります。

貸暗号資産サービス(レンディング)

貸暗号資産サービス(レンディング)とは、日本の暗号資産取引所ではコインチェック・ビットバンク・GMOコインなどが行っているサービスです。海外の取引所ではレンディングと呼ばれています。一定期間暗号資産を預けることで、利子を無料で受け取ることが出来るという仕組みです。

取引をせずに特定の銘柄を増やすことが出来ることが魅力ですが、預けている間に相場が下落しても取引できないというリスクも抱えています。また貸暗号資産サービス(レンディング)では、サービスを利用できる定員が定められていることも多いです。そのため早めに申し込む、あるいは抽選で勝ち残る必要があります。

ステーキング

ステーキングとは、一部の銘柄だけで行われている暗号資産の保有枚数を増やす方法です。日本国内では19日からコインチェックが、リスクのステーキングサービスを開始しています。こちらも一定期間暗号資産を預けることで、無料で枚数が増えていきます。また貸暗号資産サービス(レンディング)と比較すると、定員になりにくい傾向があります。

マイニング

トランザクションの確認や承認などを行うマイニングでも、無料で報酬が支払われます。 貸暗号資産サービスやステーキングとは異なりマイニングでは、電気を消費します。

なお同様のサービスは、銘柄によってマイニング・メルティング・ハーベストなどいくつか種類はあります。これらの種類によって参加できる人の数なども異なります。しかし無料で貰えるという点はどれも共通しています。

取引マイニング

取引マイニングとは、エフコインなど一部の取引所で実施されているサービスです。保有しているビットコインや米ドルテザーなどを使用して、取引所が独自発行している銘柄を獲得します。マイニングという単語がついていますが、一般的に言うマイニングとは大きく異なっています。

全体的な暗号資産の増減だけを見ると取引マイニングは、交換に近い部分もあります。しかし取引マイニングで獲得した資産も、無料で獲得したという扱いになる可能性があります。

ゲーム

ブロックチェーンを使ったゲームの中には、ゲーム内のアイテムを売却することで暗号資産に交換することを認めているものがあります。こうやって獲得した暗号資産を売却することでも利益を上げることも可能です。

獲得時点で税金が計算される

暗号資産の税金計算での2つ目の問題点は、獲得時点の相場で計算されることです。例えば1BTC100万円の時に100万円で1BTCを買った場合には、保有しておいても税金は0円です。

しかし1BTC100万円の時に無料で1BTCを貰った場合には、100万円がそのまま税金の対象となります。ここが問題点です。このため何も知らずに暗号資産を貰うと、税金を支払わなければならないこともあります。

なお相場が大きく下落した場合には、年内に売却することで税金徴収額を減らすことも可能です。1BTC100万円の時に無料で1BTCを貰い、年末に1BTC50万円まで下落したとします。このような状況で保有し続けると、100万円が税金の対象です。しかし1BTC売却してしまえば差額の50万円を税金の対象にすることが出来ます。

損失に対する保護がない

暗号資産の税率計算最後の問題点は、損失に対する保護がないことです。有価証券や外国為替による損失は、5年間繰り越しが可能です。例えば2019年に10万円の損失を出した場合には、5年後の2024年まで10万円分の利益を相殺することが出来ます。

これに対して暗号資産に対する損失では、一切繰り越しが出来ません。そのため損失と利益を毎年繰り返してしまうと、利益の年だけ税金を支払わなければならなくなります。

まとめ

現在の暗号資産の問題点は、新しいサービスに対応していないことです。暗号資産業界は、毎年のように新しいサービスを提供しています。これに対して暗号資産に対する税金の計算方法は更新されていません。新しいサービスが出る時には、税金も考慮に入れておきましょう。