2019年8月、バイナンスやザイフなど複数の仮想通貨取引所で接続障害が発生しました。バイナンスのCEOであるジャオ・チャンポン氏やザイフのツイッター公式アカウントで、原因がアマゾンウェブサービスの大規模障害によるものだと説明しています。
他の取引所でも原因は説明していないものの、同時間帯に障害が発生しています。
今回は「アマゾンウェブサービスと仮想通貨の関係」についてまとめます。
アマゾンウェブサービスとは
アマゾンウェブサービスはEC(電気商)サイトのアマゾンが提供しているウェブサービスです。
通販サイトとして知られているアマゾンですが、手掛けている業種は多岐に渡ります。
2019年4月に会費の値上げを行ったアマゾンプライムでは、通販で購入した商品の指定日配達無料や一部映画・ドラマ・音楽・書籍無料などのサービスを受けられます。
無料ではない商品についても、料金を支払うことで視聴閲覧可能です。
また東京・神奈川・千葉の一部地域では、生鮮食品も取り扱うアマゾンフレッシュというサービスも開始しています。
こちらもアマゾンプライム会員の追加特典です。
アマゾンは通販以外にもアマゾンギフト券の販売・アマゾンペイというオンライン決済サービス・クラウドコンピュータ事業なども展開しています。
アマゾンウェブサービスはアマゾンが提供しているクラウドコンピュータサービスです。
アマゾンウェブサービスのシェア率・利益
クラウドコンピュータ事業は、アマゾン以外にもマイクロソフト・IBM・グーグルなどが参入しています。
ネットワークや通信関連の分析調査会社であるSynergyの2018年4月の発表によると、アマゾンウェブサービスのシェア率は12四半期もの長期間でシェア率約33%を維持しています。
この12四半期の間に市場規模は3倍にまで膨らみました。
市場規模の拡大に合わせてアマゾンウェブサービスも事業を拡大していることを意味します。
アマゾンの発表した2019年第2四半期の決算によるとアマゾンウェブサービス部門の売上高は前年同四半期から37%増加した83億8,100万米ドル、純利益は前年同四半期から29%増加した21億2,100万米ドルにも及びます。
アマゾンウェブサービスの利点
アマゾンウェブサービスとして大きな利点となっているのは、ECサイトとしての知名度とアマゾンウェブサービス自体の知名度及び信頼性です。
ECサイトとしてのアマゾンは既に世界中でその名前が知られており、グーグル・アップル・フェイスブックといった世界的な企業とまとめてGAFA(ガーファ)と呼ばれています。
クラウドコンピューター初心者が仮想サーバーを使いたい・マシーンラーニングに挑戦してみたいと第一歩を踏み出した時に、ECサイトとしてのアマゾンの知名度は大きな武器になります。
またアマゾンウェブサービスは世界に先駆けて行われたクラウドコンピュータ事業です。
その優位性は未だに健在で、シェア率や利益にも反映されています。
長期間運営されているにも関わらず、2019年8月まで致命的な欠陥が見つかっていないという信頼性の高さも評価されているポイントといえるでしょう。
接続障害の原因
2019年8月に発生した大規模障害は冷却システムの故障です。
元々アマゾンウェブサービスは複数のリージョンに分かれており、その内のひとつである東京リージョンが接続障害の原因となったわけです。
問題は冷却システムの故障をどのように捉えるかです。
冷却システムの故障ということは外部からのサイバー攻撃ではありません。
かといってヒューマンエラーとも言い切れません。
コンピュータが熱を持つのは避けられない事実であり、冷却システムが故障していれば異常の発生は防ぐことが出来ないためです。
内部の人間が完璧に管理できていれば接続障害を防げたのかというと疑問が残ります。
まとめ
今回の1件でアマゾンウェブサービスでも接続障害が発生するということが明らかになりました。その上でどのような対応をとるべきかが重要になります。
クラウドコンピュータ事業を展開している企業は他にもありますし、仮想通貨の中にもクラウドコンピュータ開発を目的とした銘柄もあります。
他の企業に乗り換えるのもひとつの手でしょう。
しかし長年クラウドコンピュータ事業を展開しているアマゾンウェブサービスでも障害が発生したことから、他の事業主でも同様の接続障害を完全に防ぐことは難しいでしょう。
リスク分散のために複数の事業主に頼る方法もありますがコストがかさみます。
他の方法としては、接続障害が起こることを前提に接続障害が発生した場合の対策を検討するというものがあります。
取引時の接続障害は特に大きな影響を与えるでしょう。
そこで接続障害時には取引所からの強制ログアウトさせるなど、取引が出来ない状態にしてしまうわけです。
今回の接続障害を踏まえて今後各取引所がどのような対策をとるのか、あるいは次回の接続障害でどのように対応するのか注目しましょう。