2019年7月、ビットポイントジャパンでも資金流出が確認されました。日本国内の仮想通貨取引所としては、2014年のマウントゴックス事件から始まり、2018年のコインチェック・ザイフの資金流出と続いて4件目の資金流出となります。
この4件の中でもマウントゴックスは初の大型資金流出ということで、現在でもはっきりしてない点が多く存在しています。一方コインチェックやザイフの資金流出の手口は明確になっています。
しかし今回のビットポイントジャパンの資金流出事件は、他の事件と共通している部分だけではなく異なっている部分も多く存在します。
今回はビットポイントジャパンの資金流出に関する共通点・相違点をまとめます。
ビットポイントジャパンの資金流出に関する共通点・相違点
ビットポイントジャパンの資金流出とコインチェック・ザイフの資金流出の共通点
どの取引所にも共通していえることは、ホットウォレットが狙われたということです。
ホットウォレットとはインターネット上に繋がっているウォレットを意味します。対してインターネットとは直接繋がっていないウォレットのことをコールドウォレットといいます。
ホットウォレットの特徴は、他の取引相手とのやり取りが容易というところにあります。インターネットを使って取引・送金・決済などのやりとりが可能です。
しかしこれは逆に言うと、ハッキングの危険性も高いということを意味します。そのため多くの仮想通貨を保有する場合は、コールドウォレットで保管することが一般的です。
仮想通貨取引所でも同様にウォレットの使い分けが行われています。金融庁が認可している仮想通貨取引所全てが加入している日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)では、総資産の13%をホットウォレットで運用するという自主規制ルールを設定しています。ビットポイントジャパンもこの自主規制ルールに乗っ取っていました。
もうひとつの共通点は、一度に複数銘柄の資金流出が確認されていることです。
コインチェックで流出したのは、ネム580億円相当に限定されていました。しかしザイフでは、ビットコイン・モナコイン・ビットコインキャッシュの3銘柄で約67億円相当が流出しています。
ビットポイントジャパンではビットコイン・ビットコインキャッシュ・イーサリアム・ライトコイン・リップルと5銘柄が流出しました。合計流出額や約30億2,800万円です。
3つ目の共通点は資金流出後の対応速度です。コインチェックで資金流出が確認されたのは2018年1月、その後多くのサービスが停止しました。新規口座開設が再開されたのは9か月後の2018年10月です。
ザイフの資金流出は2018年9月、新規口座開設は2019年8月段階でもまだ再開されていません。
ビットポイントジャパンも新規口座開設の再開予定は不明となっています。ただし法定通貨の入出金や仮想通貨の証拠金取引・現物取引サービスは既に再開されています。
相違点
1つ目の相違点は行政処分です。
コインチェックが資金流出した時は、まだ本格的な行政処分は行われていませんでした。コインチェックでの資金流出を受けて、多くの仮想通貨取引所が経営の見直しあるいは廃業を行っています。
ザイフに関しては、2018年3月、6月、9月、2019年6月とこれまでに4回の行政処分を受けています。資金流出が発生したのは2018年9月、2回目と3回目の行政処分の間に当たります。
これに対してビットポイントジャパンは、2018年6月に行政処分を受けました。マネーロンダリング対策(AML)・テロ資金供与対策(CFT)・利用者保護措置・内部管理態勢の不十分さが行政処分となった理由です。しかしこの行政処分は約1年後の2019年6月に解除されています。
問題は行政処分が解除されて約2週間後にハッキングされたことです。このためビットポイントジャパンだけではなく、金融庁の行政処分の判断や対策に対しても不十分なのではないかという指摘が出ています。
2つ目の相違点は海外展開です。
コインチェックやザイフは今のところ海外展開を行っていません。しかしビットポイントは海外展開を行っています。
このため海外のビットポイントに損害賠償を支払わなければならないかもしれません。マウントゴックスが米国進出を考えて、コインラブと提携しました。しかしマウントゴックスの破たんにより、コインラブとの提携は解消されています。
このコインラブに対する賠償問題が、現在でもマウントゴックス事件の問題点のひとつとなっています。ビットポイントに関しても、ビットポイント台湾が今後の対応次第で訴える構えを見せています。今後大きな問題となるでしょう。
まとめ
仮想通貨取引所の資金流出は今でも続いています。2019年に入ってからもバイナンス、ビッサム、ビットゥルーなどで資金流出が確認されました。特にビッサムは3回目の流出です。仮想通貨のウォレットであるゲートハブで資金流出が確認されています。
しかしこれらの資金流出には、それぞれ異なる背景があります。ひとまとめにして考えていては、資金流出の原因などには到達できないかもしれません。
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