米マサチューセッツ州ボストンにある名門私立大学ボストンカレッジの研究者らが、「ICO投資家は82%の利益を上げている」との「Digital Tulips? Returns to Investors in Initial Coin Offerings(デジタル・チューリップ? ICO投資家の利益)」と題した調査研究報告書を公表しました。
ICOでは詐欺が非常に多いとされている中で、実はICO投資家がかなりの利益を上げているということに注目したことは極めて珍しいケースとなっています。
調査結果
ICOでは今までに総額120億ドル(約1兆3000億円)を調達しており、研究では、異なる時間枠にわたってのトークンの価値変動も調査しています。
調査の結果、平均的なICOトークンの価格は、仮想通貨取引所で取り扱われることが決まった後、トークン発売価格から取引所に登録されて実現した公開価格までの期間に179%上昇し、その間の猶予期間は平均16日だったことが分かっています。
さらに、60日以内に取引所に登録されなかったトークンは、仮に買い手の全損失となると想定したとしても、投資家は米ドル換算で82%の利益を上げていることが判明しました。
そして、取引所に上場されるまで、ICOトークンを購入しなかった投資家は、最初の30日間の取引において、トークン価格が平均67%上昇しました。さらに、より長い期間トークンを手放さなかった投資家の利益はさらに大きくなったことも分かっています。
研究者らの見解
研究者は、大半のICOトークンが1年間取引されていないかとから、長期間にわたるデータポイントはかなり小さくなると指摘しています。
研究者たちは、以下のように述べています。
われわれの論文は、ICO投資家が規制されていないトークン発行を通じて、実証されていない新たなプラットフォームに投資するに当たって、見事に補償されていることを示している。詐欺は数が多い一方、資本喪失の意味からしてさほど重要な意味を持たない。何故ならば投資家は、詐欺を見分ける十分な洞察力を持っている
研究者の1人であるヒューゴ・ベネデッティ氏は、CNNのインタビューに応じて、「私が、調査研究で発見したこと、特にICO詐欺に関するメディアの関心には非常に驚いている」と述べた上で、業界の将来については「長期的な先の結論は出し難い」と述べています。
さらにヒューゴ氏は続けて「これまでのところは、期待したほど成功していない人たちは大勢いるが、平均的にみて、この産業に対する利益は、ほとんどすべてプラスである」とも述べました。
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